検索窓
今日:9 hit、昨日:28 hit、合計:403,777 hit

ページ24

.





「で、どうだった?」

「何が?」

「私達、具体的に褒められると嬉しいかどうかの話をしてたんですけど」

「ああ、」

「なに?その気の抜けた返事は……」





自分の胸に手を当てる。

いつもより早く、どくどくと心臓が大きく脈を打っている気がした。





「嬉しかった」

「胸に手を当てるほど感激したと」

「もっと言ってみて」

「ボノナ、欲張りだね」

「もう無かったりする?」

「ううん、まだ有るよ。ラップ担当してるけど歌が上手いでしょ、声が良いからね。それに……」





能天気な顔をして一つずつ丁寧に上げていくAを見ていると、さっきよりずっと鼓動が早くなる。

心臓に火が着いてしまったのか、その火が身体に広がって、あちこちを焦がしていく。
焼かれたところがじりじりと熱を持った。

Aの言葉に呼応して撥ねる心臓の音が、この狭い二人だけの空間で聞こえてしまわないだろうか。




自分はAから愛されていると思う。

目を見れば、言葉を聞けば、態度で示されれば、それはまるで当然のように受け入れられた。



それでもきっと、Aの持つその感情が恋に転ぶことは無いんだと思う。


この人の性格上、それはアイドルとしての人生が終わるまで変わらない。
終わっても変わらない可能性だってある。

でも、それで良いとすら思う。


焦がれはするけど、急ぐこともない。
だってオレの抱え込んでいるこの気持ちも、おそらく簡単には変わったりしないはずだ。



何年、何十年後になるかわからないけど、いつかAに伝えられたらいいと思う。



その答えは何だって良い。

笑い飛ばされるようなものでも、青春だったと泣いてしまうような事でも。


.

2016.Winter レッドカーペット 前→←4



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (344 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
866人がお気に入り
設定タグ:SEVENTEEN , 紅一点
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:せの | 作成日時:2019年8月22日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。