ファン家のマンネは紅一点２ (ページ28)

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2016.Winter レッドカーペット後ページ28

A視点

大鏡の前でくるりと一周すれば、それに繋がるようにドレスの端に縫い付けられたレースがひらりと揺れた。

クプスヒョンとジョンハニヒョンが半分怒り、もう半分は嘆きながら出て行ったけど、何がそんなに気に食わないんだろう。

このドレスが別に似合っていないとも思わない。

ベーシックなAラインの形をしたこのミニドレスは、誰が着たってセミオートで可愛くなってしまうのではないだろうか。

いつもは付けない大きめのイヤリングも、巻き下ろした髪に乗せた金色の花冠のようなヘッドドレスも、女の子に振り切ったメイクも、全部が全部初めてだった。

スタイリストさんも、ヘアメイクさんも、まるで魔法使いのように思う。

入って来た時はみすぼらしかった私を、まるで魔法をかけたように正反対へと変えてくれた。

もう出て行ってしまって、部屋には私一人しかいないけど、後でもう一度お礼が言えたらいいな。

そんなことを思えば思うほど、あの二人が悲惨な顔をして私を置いて行ったのが気掛かりだった。ドレスの裾を掴んで、離す。

クプスヒョンとハニちゃんの組み合わせだし、どうせまた「妹がどうの」って、何でもない事を考えているんだろうけど。

それでも、出来れば一緒に連れて行って欲しかった。

だって今の私は、未だかつてないほどの気恥ずかしさを背負っている。

溜息を吐き出して鏡に写った自分から目を逸らし、白いアンティーク調の丸椅子に座る。

その丸椅子は、ドレッサーと同じ白色をしていた。
椅子の四つ足は猫の足の形だ。かわいい。でも今日は私だって負けてない。

薄い黒色のストッキングの先に履いている、黒いサテンのヒールにはリボンが着いてるんだぞ。いい勝負だ。

頭の中でそう独り言ちながら、反抗するように踵のリボンを揺らしていると、静かだった部屋にノックの音が響いた。

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