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「みんなからは一人で何でも出来るって褒められるんだけどなぁ」

「オレはAに対してそんな事、人生で一度も思ったことが無いけど?」

「ウジヒョンは一人で何でも出来るもんね」

「無理だろ。そんな器用なやつ、ロボットでもない限り存在しない」

「そうなの?」

「オレだって今のAみたいになる時もあるよ。お前には見せないだけで」

「私にも見せてくれたっていいじゃないですか」

「嫌」

「ケチ。それにしてもウジヒョンの甘えてる姿、全く想像がつかない」

「想像すんな」





口では悪態をつくけれど、表情は穏やかだ。


だんだんと瞼が落ちてくるけど、どうしても閉じることが出来なかった。

それに気付いたらしいウジヒョンが、ゆっくりと、私に言い聞かせるように答えを解いてみせる。





「今日はもう悪夢は見ない」

「本当に?」

「約束してもいい。つうかオレが着いてるんだぞ、魘される事なんてあるわけないだろ」

「ウジヒョン本体の方が怖いもんね」

「当たり前」





笑ったウジヒョンが「おやすみ」と、もう一度優しく手を握り返した。


おかしいな。
カーテンからは太陽が透けて見えるのに、どうしてこんなにも眠たいんだろう。

もっと話したいことがたくさんあるはずなのに。



そう考えながら『一度、瞬きをするだけ』と目を閉じたけど、そこから意識はもうどこか彼方に飛んで、どこか遠くへ行ってしまった。


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作者名:せの | 作成日時:2019年8月22日 10時

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