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「最近、眠るのも起きるのも嫌で」
「なんで？」
「わかんない。怖いのかなぁ」
「いつから」
「最近です」
「いつからだって」
「多分、んー……数か月前から」
「それはもう最近じゃないな」
そう答えるとウジヒョンが立ち上がって目の前までやってくる。
ソファに倒れ込んで、何も言わずにヒョンを見上げた。
「体調は？」
「変わらないですよ、うまくやれてたでしょ？」
「じゃあ気分が悪いのか」
「気分が悪いというか……寝ると、」
「うん」
「寝ると怖い夢を見るんです」
「どんな内容の？」
「わからない」
気だるい目覚めからそれに変わったのはここ一週間の事だ。
だからウジヒョンに「最近」と言ったのも、あながち間違ってないと思う。
ツアーで回っている疲れが溜まっているのか、布団が変わったせいなのか。
今までそんなことはなかったのに、いきなり睡眠環境が激変してしまった。
悪夢の内容は一つも覚えてない。
毎回魘されて起きるけど、自分が何を恐れているかも解らない。
ただただ毎回じとりと汗をかいていて、心臓がバクバクと音を立てている。
この数日、寝れたのは最長で三時間だ。
一度目が覚めると、その後は絶対に眠れなかった。
「ストレス？」
「そんなのはみんなある程度抱えるでしょ？」
「抱えきれなくなったから眠れないんだろ」
そう言ってウジヒョンがしゃがみこみ、ソファに埋まっている私と目線を合わせてきた。
前髪を払って額に手を当ててくるけど、ウジヒョンって人の体温の変化とか解るのかな。
解らなそうなタイプなんだけど。
「なんで誰にも言わなかったんだよ」
「今ウジヒョンに言ってるじゃないですか」
「もっと早く言え」
「自分の様子を見てたんです」
「減らず口」
「ウジヒョンに似たんですね」
「オレは素直だよ。言う時は言うし」
「確かに」
横に首を振って、ウジヒョンが溜息を吐き出す。
ああ、もしかして本当の意味で呆れられてしまったのかもしれない。
それだけは嫌なのに。
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作者名：せの
| 作成日時：2019年8月22日 10時
