しもやけ [HS] (ページ6)

今日:2 hit、昨日:2 hit、合計:12,349 hit

5 ページ6

.

「あ、こんにちわ」

エレベーターを下りた私達を出迎えるように、にこやかな笑顔で挨拶をした若い男の人。

鼻がすっと整っていて、フェイスラインがとても綺麗。

後ろから光が照ってきそうな程小さくて綺麗な顔に加え、

ラフな格好なのにスタイルが良いのはパッと見で分かる。

芸能人、とか何かなのかな？

「こんにちは。チョンさん…ですか？」

「はい！そうです」

今日はよろしくお願いします。そう言ってぺこりと先輩と一緒に会釈をするとこちらこそよろしくお願いします、と穏やかに会釈を返してくれた。

見た限り私とそう変わらなそうな年齢だけど、
私達を上から目線で傲慢な態度を取るわけでも無く、むしろ謙遜しているような態度を取るチョンさん。

ここ最近珍しい、良いお客さんなのが滲み出ていて、先輩とアイコンタクトを取り密かに喜んだ。

「朝早くから呼びつけちゃってすみません、お二人共朝ごはん済ませてきてますか？」

「いや…まだ、ですけど」

「じゃあ良かったら一緒に食べましょうよ、お詫びと言ったらあれなんですけど、ちょうどさっき出来たところですし」

「さすがにそれはチョンさんの迷惑、というか邪魔になるんじゃ…、」

「やだな、こんな早くに依頼しといて何もなしに作業させるわけにはいけませんよ！」

まいったな、
物腰柔らかで人当たりも良すぎるなんて。

早速、ずっと引き摺っていた憂鬱がどこかへ飛んで行ってしまいそうだ。

また食べてないなら、是非！
そう言ってチョンさんによって開けられた部屋の中からは、

「…いい匂い、」

どこか懐かしい朝食の香りがした。