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「来てくれてありがとな」
あの後、先輩達の時間が終わるや否や係員のような方に誘導された私達は次のバンドの開始を待たずして裏の控室に放り込まれた。
「ヒョン達、すごくかっこよかったですよ」
「ほんとか？」
まるで小さい子がレンジャーもののテレビを見てはしゃぐように目をキラキラさせて先輩の元に駆け寄ったホソクくん。
「あれ、ユンギヒョン、知り合いですか？」
「あぁ、誘ったって言ってたヤツら」
そう言って先輩の隣に立ったのはあの赤髪の男の子で、まだ幼さが残った顔立ちに、大きな目を見ると自然にウサギを連想してしまう。
「こんにちは。btsのメインボーカルをしてますジョングクです」
「あ、初めまして。友達のホソクと、」
「ユンギ先輩と同じバイトをやらせてもらってます、Aです」
「あ、あの引越し屋の？」
「そうです、」
「ヒョンと仕事、絶対大変でしょ」
「そんなにですよ。先輩優しいですし。」
そう言って口の端を上げて笑ってると、視界の端に彼が写った。
青い髪が雲ひとつ無い空の様な色をしてるから嫌でも目に付く。
「Aちゃん、？大丈夫？」
「ぁ、すみません、なんだか緊張しちゃって」
元々、人と話すのは得意じゃないのだ。
現に、この場にいる全員の視線が私へと集まっているのだから。緊張するな、縮こまるな、そう言われる方が無理がある。
深呼吸をして落ち着こうと胸に手を当てると、
「あ、ジミニヒョン！遅いですよ！」
突然、後ろの扉が開くと同時に楽屋に入ってきた男性。
彼は煙草の箱を片手にジョングクさんに平謝りをし、顔を上げると目を丸くした。
．
「あれ、Aちゃん？」
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作者名：やぎ | 作者ホームページ：https://mobile.twitter.com/yes_Im_yagi9
作成日時：2022年2月5日 19時
