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初夏 ページ6

季節は過ぎ、夏休みまであと少しの日のことだった。
 
 
4限目の授業が終わり、待ちに待った昼休みになった。今日は富永君は授業に出ていなかった。
 
僕は出来るだけ長い時間を富永君と過ごすために、急ぎ足で屋上へ向かった。
 
 
 
 
階段を駆け上がり、ドアを勢いよく開けた。しかしそこに富永君は居なかった。
 

(富永君何処に居るんだろう……しばらく経てば来るかな…?)
 
 
いつもの場所に座り、先にご飯を食べ始めることにした。
 
(心配だからLINEしとこ…)
 
 
 
〖今どこにいるー?〗
〖いつもの所でご飯食べてるよー!〗


僕は1人サンドウィッチをむしゃむしゃと食べていた。
 
 
(早く来ないかな〜…)
そう思った時屋上のドアが開いた。
 
「富永君!!」

富永君は無言で僕の隣に来て、ドサッと座った。
 
僕はその姿をみて唖然とした。さっきまでは目が悪いせいでよく見えていなかったけど、近くに来て気付いた。
 
 
「富永君…その怪我どうしたの…?」
 
顔や腕に痛々しいアザや傷がたくさんあった。
 
「…………転けた。」
 
 
「…………嘘はいらないよ…
 ホントの事教えて…?」
 
 
富永君はため息をつき、喧嘩。と呟いた。
 
「誰と喧嘩したの?」
「どこで喧嘩したの?」
「怪我は大丈夫なの?」
 
「大丈夫だから、心配すんな。」
 
「ほんとに……?」
「ほんとに。これが初めてでもねぇし」
「そうなんだ……あ!絆創膏持ってるよ!」
「お前は1人でお菓子の袋も開けられねぇ時もあるし、絆創膏は持ってるし、女子かよ」
「よく言われるよ…けど男だよ!!」
「知ってる。」
 
さっきまでムスッとしていた顔が少し笑った。
 
 
「あんまり持ってなかったから足りないね…けど、貼っておいた方がいいかも」
「ほら、貼ってあげるから腕出して」
 
無言で僕に腕を差し出し、ため息を一つついた。
 
「ぁ…ごめん、嫌だった?」
 
「別に嫌じゃないけどさ…」
「ならよかった…てっきり嫌なのかと思ったよ」
 
僕は富永君の腕に絆創膏を貼っていった。
 
「お前ってほんと優しいよな…」
「そ、そんな事ないよ!!!」
「痛っッ!!」
「あ!ごめん!つい力が入っちゃった!大丈夫!?」
 
「おう、、つい反射的に言葉が出ただけ」
 

「ありがとな。」
 
僕に目を合わせることなくそう言った。

チャイムに掻き消されそうになったその声は、僕にはハッキリと聞こえていた。

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天の邪鬼な狐 - 終わりかぁ〜楽しみが減っちゃいましたなぁ。お疲れ様です! (2016年12月10日 23時) (レス) id: 60349813f0 (このIDを非表示/違反報告)
ごまだんご(プロフ) - てまりさん» こんにちは〜!申し訳ないです(T_T)はい!後少しですが最後まで頑張ります!! (2016年12月2日 8時) (レス) id: 6d2a15dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
てまり - こんにちは!この前見たら、ごまだんごさんの小説消えてたのでビックリしました…。これからも小説の更新頑張って下さい(*´∇`*) (2016年12月1日 22時) (レス) id: d175e5d152 (このIDを非表示/違反報告)
ごまだんご(プロフ) - てまりさん» ありがとうございます(><)とても励みになります!!完結まで何とか頑張るので、これからも見て頂けると幸いです!! (2016年11月22日 16時) (レス) id: 6d2a15dbb6 (このIDを非表示/違反報告)
てまり - いつも見てます!更新頑張ってください(*´∇`*) (2016年11月19日 19時) (レス) id: d175e5d152 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ごまだんご | 作成日時:2016年9月29日 21時

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