残り6日 ページ2
いつもと同じ時間に起きた。カーテンから差し込む暖かな春の光が部屋のなかに入って来ている……はずだった。
雨か?そう思ったがカーテンの外を見ても雨らしきものは降っていない。ただ、ありえない程に重なった色々な種類の雲が空を、太陽を隠していた。
僕は思い出す。世界はあと6日で滅亡するんだと。昨日の夜とは違い、とても静かだった。“事実”を受け入れられていないのだろう。
僕?僕は受け入れられている。怖いくらいの冷静さ。いつからだろう。僕自身分からない。
学校へ行こう。そう思った。
僕の通っている学校は共学で、勉強も部活もそこそこのところだ。昇降口を通り教室へ向かう。その間、誰とも会わなかった。
チャイムが鳴る。いつもと同じチャイム。しかし、いつも通り入ってくるはずの担任の姿はなかった。
校則違反だが、カバンからスマホを取りだしニュースを見る。昨日より少し、詳しくなっている。
『全、公共機関が停止しました。責任者は速やかに施設の解放を要求します』
ネットは騒がしかった。様々な意見が出ていた。嘘と言う者、狂気に走る者、欲望に流される者、泣く者、わらう者…死ぬ者。
僕は何なんだろう。そう考えているうちに昼が来た。こういうときでも空腹は訪れるものだ。
家に帰り、有り合わせの物で昼食を作りテレビをつける。もう機能していない局もあった。電波が悪いようで、時々途切れる。
「世界__亡まであと、6日で__。みなさん、どうお過ごしですか?」
少し高めの声が綺麗なキャスターではなく、真っ黒の画面に流れる音声は、機械のものだった。
昼食を食べ終え、何をするでもなくベッドに転がり天井を眺めた。僕は何をすればいいのだろう。いっそ終わる前に終わらせるか。
気付いたら夢の中にいた。
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兆巴(プロフ) - 永羅さん» ありがとうございます!!過大評価しすぎですよ;; (2015年6月10日 18時) (レス) id: ab15b5200d (このIDを非表示/違反報告)
永羅(プロフ) - とても素敵な作品だと思いました。占いツクールでは珍しい文章かな、と思いながら読み進めさせていただきましたが、このサイトでこれほど素敵なオリジナル作品に出会えるとは思っていませんでした。また続きを楽しみに待っています。 (2015年6月10日 17時) (レス) id: 131249634c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:兆巴 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/mnk39391/
作成日時:2015年5月27日 20時