げいひめ。 (ページ24)

今日:5 hit、昨日:17 hit、合計:74,754 hit

04 ページ24

＊

盛「うわ、顔えぐっ」

リ「、、なにがやねん」

賢志郎さんに情けないことを言ったこと謝って、

「ええよええよ」なんて笑って許されて。

自分が一番Aのことを思ってる、

なんて自惚れでしかなかったんやと痛感して。

盛「1ステ目からその顔はしんどいて」

リ「んー、、」

盛「頼むでほんま、、」

リ「、、飲みもん買ってくるわ」

盛「おー切り替えてきてくれ」

　

もりしだって悲しいはずやのに、俺を鼓舞してくれとる。

情けないわ、自分が。

開演前の楽屋の雰囲気が好き。

ガチャガチャと準備に走り回るスタッフさんがいて、

壁に向かってネタ合わせしてる若手がいて、

ギリギリまで寝てるベテランがいて。

いろんな音が合わさってる。

ちょっとの緊張感と、笑い声。

『この雰囲気めっちゃ気持ちいいよな、濡れる！』

なんて下品なコメント添えて

嬉しそうに笑う姿が、いつまで経っても離れへん。

一緒に芸人したかった、なんて言ったけど

一緒に居たかっただけかもしらん。

俺はわがままやから、

"同期芸人"という繋がりだけでも、守りたかったのかもしらん。

Aが作り出す雰囲気に、ずっと飲まれてたかったんかも。

、、全然切り替えれてないやん。

、、ごめん、もりし。

そんな反省の念を込めて、缶コーヒーのボタンを押す。

カシュッとプルタブを捻り、一口。

ふと、目線を向ける。

階段へ続く廊下で、

壁に向かいもぞもぞと何かをしているスタッフ。

まるで何かから隠れるように。

なにしとんやろ、怪しいな、そう思って見てただけ。

見てた、だけ。

リ「何しとるん」

気づいたら、そばに寄っていた。

リ「なんでここにおるん」

気づいたら、腕を掴んでた。

リ「なんなんその格好」

気づいたら、声をかけていた。

リ「A、説明して」

「、、いや見つかるん早ない？」

気づいたら、口元が緩んでいた。