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色々やってもらったのにごめん


期待に応えられんくてごめん


一緒に立てんくてごめん


でも応援だけはさせてほしい、ごめん


ほんまに楽しかった、ありがとう、ごめん







まともに話せた記憶はないし、


今の気持ちを正確に伝えられたかなんてわからへん。





隣に座ってくれたリリーが、


自分の膝の上でギュッて拳を握りしめてたんだけは


なんか俯瞰的に見れた。


相変わらず綺麗な手してんなあ、なんて。




私が必死に伝えた言葉を聞いた後、


リリーが抱きしめてくれて、


その細い肩が震えてて。


耳元で「、、ごめん」なんて言うから、余計涙が止まらんかった。














リリーが一人劇場に向かって、どれくらい経ったかわからない。


遮光カーテンの隙間から差し込む光が


ちょっとだけ赤く染まってるくらいの時に


スマホが鳴った。






「、、はい」

「あー、はい、わかりました」

「はい、今から行けます」

「すんません、ありがとうございます」



通話相手に伝わるはずもないのに頭を下げる仕草をしてしまう。




「あー、ほんまに、終わりかあ、、」


切った後、思わず溢れる自分の言葉さえなんかドラマ仕立てで寒い。

あかん、私、めっちゃスベってる。






『手続きの書類書きにこい』


という天上人からの電話。





なんの仕事しよかなあ、、

私がつける定職ってあんのか?



「、、あかん、夜職しか思いつかん」


いつのまにか定着した、見慣れた銘柄のタバコを開ける。

歯でカプセルを潰す、

最初は手でやってたこの動作も数を重ねれば簡略化してくる。





火をつけたそれは、いつもと同じ味で


何度も何度も買い直しても、いつも同じ味。



酒の席で思わず本数増えてもうてもうまいし

スロットでボーナス確定した瞬間に吸うてもうまいし

麻雀で川読みながら捨て牌考えてる時に吸うのもうまいし

ヤ ったあともうまいし、




劇場の狭い喫煙所でわいわい言いながら吸うのも

泣きながら今日の反省してる後輩の話聞きながら吸うのも

お笑いスタイルを熱く語る先輩の話聞きながら吸うのも

どんどん人気になっていく同期に悪態つきながら吸うのも



全部ぜんぶおいしくて。




そんなこと考えてたらまた、目の前にボヤがかかる。


、、ほんまこの目から出る汁、どうにかならんのか。

03→←01 無理。



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作者名:よいちょちょちょ丸。 | 作成日時:2022年2月24日 10時

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