げいひめ。 (ページ21)

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01 無理。ページ21

＊

新しい自分、

というにはあまりに変わり映えがしないけど。

_____無理。

リ「、、、は？何言うとん」

「、、ごめん。でももう上の人に言うた。」

いつも通り、劇場に連れて行くために尋ねた部屋。

準備を済ませているはずのAは、なぜか部屋着のままで。

嫌な予感がしたから、少しきつめに「はよ用意して」と言った。

そしたら、すごくバツの悪そうな顔で

「ごめん。芸人辞めることにした。」

なんて。

リ「いや、は？え、なに、」

「ほんまごめん。ここまでしてくれたのに、、、ごめん」

リ「いや、ごめんやなくて。なに？え、わからん」

何を言っているのわからなくて、言葉の出し方がわからない。

「、、あんたともりしには、ほんまに申し訳ない、と思ってる」

ソファの上で座り込んでるその顔が見えない。

どんな顔して言うてんの？

なんで、なんでそんな答えに行き着いたん？

リ「、、なんで？」

「、、もう無理や、と思ったから」

リ「なにが？なにが無理？まだなんもしとらんて」

「ほんまに無理なんやって！！！！、、ほんまに、、ごめんけど、、」

思ったより語気が強くなってしまったのか、

だんだんと小声になっていく。

リ「意味がわからん、全然納得できん」

「納得、とかちゃうんやって。ほんまに、ただただもう無理やって思ってん」

リ「そんなん新しい相方探したりとか、まだできることあるやろ！」

「、、立てへんねんって、もう」

頭を抱えて、さらに体を小さくして

溢れるように言葉を発する。

「もう、板の上に、、立つ度胸がないねん、、」

リ「、、、」

「、、ごめん。怖いねん、ほんまに」

ふぅー、と息を吐いて隣に座る。

近づいたことにより、やっとわかった。

ああ、、また震えとる。

「、、何回も公演終わりとかに練習したよ？」

リ「、、」

「音響さんとかにも手伝ってもらったし」

リ「…知っとる。」

「出囃子かけてもらったりさー、懐かしいなー嬉しいなーって」

リ「…うん」

「、、でも、無理やった」

り「…うん」

「あのライトが目に飛び込んできたら、、出やんねん、声が」

ああ、また俺が泣かせとる。

笑ってて欲しいって思っとるくせに。

Aが頑張ってたの知っとるくせに。

また一緒にやりたいっていう俺のわがままのせいで。