無感情の彼女に愛を【WT】

Section９ ページ10

「カゲ悪いなー、迷惑掛けて。旭野もうるさくして悪かったな」


「うん、大丈夫」


「じゃ、また明日な〜」




穂刈の腕を引きながら階段を上がっていく

そういえば、当真と穂刈らの部屋は2階だったか、と思いながら部屋に戻ろうとすると影浦に腕を掴まれた

瞬きをして影浦を見るとすぐに腕を離された




「…、おやすみ」


「うん、おやすみ」




そう返して部屋に戻り、鍵を閉める

ふと、上着を返すのを忘れたのに気付く

返しに行こうと思い立ったが、昼間から疲れていた影浦を思い出し、明日にしようとハンガーに掛けた

そのまま倒れ込むようにベッドに身体を預ける

狭まる視界の中で開いたままの教材が目に入ったがそのまま目を固く閉じた




どんどん、と重い音が扉の方から聞こえる

のそり、と立ち上がり鍵を開けるとそこには仏頂面をした影浦と微笑んでいる北添が立っていた

旭野の格好を見て影浦は一つため息を吐く




「学校」


「…うん」


「今日は来いよ」


「俺たちは登校してるのにAちゃんだけ休みだとサボりだって怪しまれるからさー」


「うん」


「待っててやっから着替えて来い。飯は後で食え」




そう言う影浦に背を向けて制服を手に取る

シャツに手を通してスカートを履き、リボンを結びながら影浦達の方へ向かい、結んでいる間に影浦が戸締りをした

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