検索窓
今日:3 hit、昨日:2 hit、合計:54,764 hit

第7話 現実 ページ8

動画がアップされて数日。私が動画に出る回数も多くなって。

さすがフィッシャーズというか、コメントや再生回数はどんどん増える。…と同時に、現実も見えてきた。

「Aちゃんが入ってから アスレチック動画減ってつまんない」

「フィッシャーズがなんか遠慮がち、幼馴染み同士のあのノリがいいのに」

「男だけの所に入ってくるとか、Aとかいうやつはどうなってるんだw」

ぐさぐさと心に刺さるようなコメントが多く見受けられる。


シルクくんのお家で集まっている時、ふと見たそんなコメントに涙が出てきた。

私、自惚れてたのかな。

みんなに見られたらだめだ、と涙を拭う。

『…っ』


「なに、大丈夫?」

突然背中から声がして、思わず振り向いた。

『マサイくん…?』

訝しげな目でこちらを見るマサイくん。

「なんかあったの?」

見られた。
ごまかしは効かないと分かっているけれど、精一杯大丈夫です、と伝える。

「ほんとに大丈夫?ていうか、じゃあどうして泣いてたの」


パソコンの画面をのぞき込まれて、慌てて両手で隠す。

『…なにもない、から』

「良くあるよね、こういうの」

『…』

「辛かったね」

そんなにお互い関わってなかったのもあるけど、初めて聞いた、直球で優しい言葉に驚いて涙が溢れた。



「今までと違うことをする時は、こういう人が付き物だと俺は思ってる」



「かなり心無いこと言ってくるけどさ、この選択は間違ってない」



「俺はAが来てから楽しい。それに、俺らが責任もって選んだメンバーだもん。邪魔だとか嫌だとか思ってないよ」


だから大丈夫、とさらっと言ってのけるマサイ君。

涙は止まらない。

ぼろぼろ、ぼろぼろ。


「ごめん、なんか変な事言ったかな」


『…っ、すごく、辛かった…っ』

「…うん」


『それに…そんなこと、っ思っててくれてると思ってなかった…』

「大丈夫」

なんとか泣きやもうと、袖で涙を拭いて、笑ってみせる。

…涙はまだ、止まらなかったけど。


そこに、私たちの気配に気づいたシルクくんが、何してんのー?と部屋に入ってくる。

『あっ、シルクくん…っ』
なんだか二人とも気まずくて、ぱっと顔を背ける。

「…A泣かしたの?」


にやりと笑うシルクくんを横目に、マサイ君が続ける。


「…あ、そうそう。Aがアスレチック行きたいなら、ちゃんと連れてくから」


ちゃんと考えててくれたんだって嬉しくて、元気に返事を返した。

『うん!』

第8話 仲間→←第6話 夢から覚めた



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.6/10 (57 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
117人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みぞれ - 頑張ってください!この作品好きですっ! (2017年3月27日 7時) (レス) id: 931096523e (このIDを非表示/違反報告)
有乃(あの)(プロフ) - 雪桜さん» ありがとうございます、とっても嬉しいです!これからも精進します! (2017年3月24日 1時) (レス) id: c4fc46a459 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - ええとこれ好きです頑張ってください (2017年3月21日 21時) (レス) id: bd91b60462 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:有乃(あの) | 作成日時:2017年3月5日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。