第34話 僕の気持ちと愛してるゲーム ページ38
モトキside*
がちゃりとシルク家のドアを開ける。
最近来る頻度多くなったなあ、なんて物思いに耽りながら廊下を歩いていると、すぐ横の部屋から声が聞こえた。
「…あ…る」
『…も…い』
Aとマサイの声だ。
シルクたちとは別に、動画でも撮っているんだろうか。
気になって、近づいて聞き耳を立てる。
立ち聞きなんて趣味悪いことしてんなあ、俺。
ぼんやりとそんな事を思って、ドアに耳をつけた時。
「愛してる」
俺は瞬間的にその場を離れた。
あれは間違いなくマサイの声で、あの言葉はきっとAに向けられたもので。
柄にもなく心臓は煩かった。
嫉妬、というやつなのか。
それともただ、『聞いてはいけないものを聞いてしまった』というドキドキなのか。
「…っは」
呼吸を整えて、とりあえずリビングのドアを開ける。
「おっ、モトキじゃん。いらっしゃい」
「…あぁ、うん。お邪魔します」
「…なんかあったん、すっげえ挙動不審だけど」
「え、あ、いや？何も」
「あっそ？ならいいけどさ」
今挙動不審なのか、俺。しっかりしろ。
「…今さ、マサイとAって動画撮ってんの？」
「うん。珍しいコンビだよなあれ」
あーいう変な組み合わせ好きなんだよなー、と笑うシルク。
「あぁ…そうだねぇ。何してんのかな」
「覗いてこれば？飛び入りで」
「いいのかねぇ、それ」
「あいつら2人のことだから、多分尺余って困ってるって。むしろ行ってきてやって」
「…それ2人に失礼じゃない」
恐る恐る、扉の前まで足を運ぶ。
もう先ほどのように騒がしくはなくて、思い切ってドアを開けた。
「…なにしてんの？」
目が合った瞬間、気まずそうに目をそらされる。
やっぱり、愛の告白、とか。してたのかな。
「まじでビビった…カメラ回ってるよ今」
「知ってる。ちょっと気になって。何してたのかなって」
『え、あぁ…』
言い淀むA。
やっぱり、やっぱり。
「ごめん、お邪魔だったね。俺帰っーー」
『愛してるゲーム。知ってる？』
「…はっ？」
愛してるゲーム。愛してるゲームってぺけとマサイがやってたやつか。
今まで2人はそれをやって遊んでたってことで。
それはつまり。
「なぁんだ、ゲームか…」
本気ではないってことか。
「え、なんで嬉しそうなの…？」
怪訝そうなふたりを横目に、心から安堵する。
俺、Aが本当に好きなんだ。
まんまとハマってしまった。愛してるゲームの罠。
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みぞれ - 頑張ってください！この作品好きですっ！ (2017年3月27日 7時) (
レス) id: 931096523e (このIDを非表示/違反報告)
有乃(あの)(プロフ) - 雪桜さん» ありがとうございます、とっても嬉しいです！これからも精進します！ (2017年3月24日 1時) (レス) id: c4fc46a459 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - ええとこれ好きです頑張ってください (2017年3月21日 21時) (レス) id: bd91b60462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有乃(あの) | 作成日時：2017年3月5日 2時
