第28話 きっと、きっと ページ31
「お花見行きたい」
マサイくんが珍しく、みんなに提案した。
桜が散る前にみんなで行こうよ、写真も撮りたいから。なんて言って。
「じゃあコンビニで飯買って、今から出かけよ！屋台もあるし」
『え、今日？』
「善は急げ！準備ならすぐ済むから」
「おいンダホ、ここ俺んちだからな、用意すんの俺だからな」
「そこを何とか、俺も手伝う！」
「しょうがねぇなぁ。ンダホは買い出しよろしく」
「おっけぃ」
「今日割と集合率いいしな、楽しくなりそう」
満足気なマサイくんを見て、笑みがこぼれた。
*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――*
「っし、着いた！」
「さんきゅぺけ。お疲れ」
「じゃあ今日、俺はお酒パスで」
「屋外であんなベロベロになられてたまるかよ」
ダーマくんがぺけたんくんを小突く。
「ブルーシート、そっち持って、ダーマ」
「うぃっす」
私はと言うと、カメラを構えるマサイくんの隣で、桜を眺めていた。
『いいの撮れた？』
「うん、ばっちり。…ねぇA、こっち向いて」
『ん？』
ぱしゃり。シャッターが切られる音で気がついた。
「…うん、自然な笑顔の方がいい」
『びっくりした』
「ごめんごめん。さ、行こ」
写真を撮ったり、バカ騒ぎしたり。
気づいたら凄く時間が経っていた。楽しい時間って、すぐ終わっちゃう。
『ちょっと、お手洗い行ってくるね』
「おういってら〜」
恐らく酔ってるシルクくんに見送られて、席を外した。
*☼*―――――*☼*―――――*☼*―――――
『やっと知ってる場所…』
帰り道が分からなくて、かなり時間をかけて近くまで戻ってきた。
早く帰らなきゃ、なんて思っていたら、明らかにベロベロのおじさん2人に絡まれてしまった。
「ねぇ、一人？」
これマンガでよくあるやつだ。
友達と来てるので、とやんわり断るけれど、やっぱり執拗い。
『あの、本当に大丈夫ですから…』
「いいじゃん、一口あげるよ」
強引に腕を掴まれる。酔ってるのに力強い…
『や、ちょっ…』
これもよくあるやつだ、なんて呑気に思っている場合ではなかった。
このままじゃほんとに連れてかれる、と思ったその時、ふと後ろから声がした。
「おじさんたちなにしてんの？」
いつもの調子のモトキくん。彼らの手を引き剥がして、そう問う。
「この子僕の"彼女"だから」
心臓がはねた。
きっと口実、そう思ってもドキドキしっぱなしで。
きっと、きっとお酒のせい。
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みぞれ - 頑張ってください！この作品好きですっ！ (2017年3月27日 7時) (
レス) id: 931096523e (このIDを非表示/違反報告)
有乃(あの)(プロフ) - 雪桜さん» ありがとうございます、とっても嬉しいです！これからも精進します！ (2017年3月24日 1時) (レス) id: c4fc46a459 (このIDを非表示/違反報告)
雪桜 - ええとこれ好きです頑張ってください (2017年3月21日 21時) (レス) id: bd91b60462 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：有乃(あの) | 作成日時：2017年3月5日 2時
