Ep.3__田舎 ページ7
4月。
晴れて、都立大生。
絶対いくって決めてた、クイズ研究会を覗いてみる。
なんか、あまーい匂いがするなぁ。
学生会館の下が食堂だから、かなぁ？
やば、お腹すいてきたな
そんなことを思いながら、『失礼します！』と勢いよく扉を引いてみた。
待って。
待って待って待って
あなた、卒業したんじゃないの？！？！？
問ちゃんいるんだけど！？！？！？
あまりにも驚いたらオタクばれちゃうし、なんて思いながら、冷静を装って挨拶をする。
『今年入学しました。法学部1年の滝本Aです！』
目の前の問ちゃんが、口を開く
「……1年生きたー！！！初々しいね！！Aちゃん、クイ研楽しんでってね。」
ヤバい、名前呼ばれちゃったんですけど…！！！！！
問ちゃんの後輩で、私より先輩らしき人たちが話し始める。
「もう、問先輩！楽しんでってねって投げやりにしても入ってくれませんよ〜」
「ただでさえ先輩がabc優勝してからは、クイズ興味無いただの先輩のファンがめっちゃ来るんですから！」
オタクに結構辛辣だな、と思う。
まあ、クイズ本気でやってる人からすりゃ、問ちゃんのオタクなんて冷やかしみたいだよね。たしかに、たしかに。
問ちゃんは「そんな事言わないでよ〜僕が広告塔になってるって証じゃない！？」とかいいながら笑ってる。
呑気だな〜先輩！とか言われながら、みんな楽しそうにしてる。
このサークル、めちゃくちゃ雰囲気楽しそうだなぁ。
私が何も話せずぼーっとしてると、問ちゃんが気づいて声をかけてくれた。
「Aちゃん、お菓子食べる？」
あまりの急展開に動揺しながらも、『いいんですか！？』とお菓子を頂いてしまった。
「クイズ、やったことある？」
問ちゃんは結構話しかけてくれる。内心バカ嬉しいんだけど、顔に出ないように、慎重に。
『クイ研は経験ないです。スマホアプリでずっと早押ししてて…笑』
「あー！僕もそれやってるよ！あれ結構ハマるよねぇ！！」
問ちゃん、めちゃくちゃフレンドリーだな。
想像通りって感じ。
『ハマりますよね〜！えっと……』
名前がわからないふり、をしてみる。
「あ、僕、東問だよ」
「東が苗字で、問がなまえ。」
自己紹介してくれちゃった。いや。させちゃった。
『珍しいお名前ですね！？すぐ覚えられそうです！笑』
いやもう、覚えてんだけどね
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
