提出 ページ46
同棲を始めてから2年半、付き合ってから3年半が経った。
動画内でもすっかり人気メンバーになっていたAちゃんはQuizKnockでのバイトをやめ、一般企業に就職した。
僕はQuizKnockに就職して5年目の28歳。
そろそろ、だよね。
8月に貰った夏休みで、僕はボーッとテレビを見ながら考えていた。
Aちゃんは何も言わないけど。女の子だもん、考えてないはずがない。
それにこの前僕は見てしまった、彼女が『ゼクシィ』を買ってきているのを……！！！
「Aちゃんそれどうしたの？」
『えー？付録が欲しかったんだよね、このポーチ。300円でこれ買えるのヤバいね』
「付録目当てで買ったの！？笑
中身読んだ？」
『…んー、まあまあ』
僕は知っている。
これは読んでいる時の返事だ。
Aちゃんは嘘つくのが苦手だから絶対に嘘はつかないのだが、曖昧にしてくるときは変な濁し方をするのだ。なんともわかりやすい。
そんなことはどうでもよくって！！
僕はいつこの話をどう切り出すかめちゃくちゃ迷っている。僕版ゼクシィが欲しいんだけど。
悩みに悩んだ結果、8月末に少し高めのレストランを予約してしまった。
「Aちゃん今日夜よろしくね」
『はーい！ドレスアップしときまーす！』
夜会ったのは、綺麗なドレスに負けないような美人な僕の彼女で、最高のプランが遂行できそうたった。
事前に選んだ、とっておきの指輪をポケットに忍ばせて。
「ねぇ、Aちゃん？」
『なぁに？』
「あのね？」
彼女は微笑みながら聞いている。
「Aちゃん。僕と、結婚してください」
Aちゃんは目を見開きながら、現実と夢の境目をたしかめていた。
『えっと………処理が追いつかなくっ、て、』
「ふふふ、もっかいいおうか？」
『もっかいきく』
「Aちゃん、結婚しよう？」
『も、もちろん、です！』
今にも泣き出しそうな赤い目を見つめる。
「僕世界で1番しあわせかも」
成功したプロポーズ、記入した書類に印鑑を押して、2人で記念日を作る。
ご両親にまた挨拶に行き、みんなから祝福を頂いた。
ただ1人、僕の弟の言ちゃんを除いて。
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
