甘蕉 ページ44
初めてのディズニーホテルにはしゃぐAちゃんが微笑ましくてずっと見てしまう。
『問くんもここ初めて？』
「地方に住んでたから来たことあるよ」
『そっかー！関東に住んでると来ないんだよねえ…幸せだぁ』
昔家族で来て、言とベットを取り合いしたことを思い出した。懐かしいな〜
その日、23日は早めに夕飯を食べて、明日のために！と意気込んで2人で眠りについた。
はずなのに。
12時をすぎた頃、同じベットにいたAちゃんが突然くるりとこっちを向いた。
『もん…寝れない……』
2人で同じ布団にくるまりながら、向かい合わせになった僕を見あげてくる上目遣いのAちゃんに、僕は自分を抑えることで精一杯だった。
『……ぎゅってして』
「…、ん」
『へへ、好き』
「………ん、うん」
『…もん？』
「ふふふっ」
直接砂糖を舐めるよりも甘いような時間が流れていく。
まだ手を出す勇気なんてないけど、思わずAちゃんの頭をわしゃわしゃしてしまう。
「かわいいねぇ」
『！？///』
『もっと〜』
「…………もうだめっ、寝るよ」
正直限界なので、これ以上僕自身が間違えてしまわないように、自分に言い聞かせるように言った。
『うぅ……』
『ねぇ〜、問？』
「っ、なあに？」
『明日、問とデートたのしみ』
何か言ったらダメになるような気がして、もう1回頭をわしゃわしゃする。
『…！わぁ……問くんもたのしみ？』
「、うん」
僕が答えてすぐ、『へへ〜』と言い残して、向き合ったままで眠ってしまった。
「かわいいなぁ、大好きだよ」
『…ん』
(！？！？！)
寝ていると思ったのに、聞かれた、か？
ドキドキしながら、僕も眠りについた。
朝、6時。
僕が目を覚ますと、既に先に起きてたAちゃんが鏡とにらめっこしながら準備を進めている。
「Aちゃん、おはよっ」
『あ！問くんおはよう〜！』
「…ふふ、今日はいつもより一段と可愛い、メイクもお洋服も」
『ほんと〜？！お気に入り持ってきてよかった！』
2人で準備を済ませ、早めに入れるパークに貸切気分で始まった1日を楽しんだ。
クリスマスの装飾がなされていつもよりも来園者が多くて、僕たちはずっと手を繋いで歩いていた。
『Aちゃん、今日の夜別のホテルにしたんだけどさ、荷物移さないと行けないから…』
「！、もしやお兄さん……ミラコ…！？」
『はいはい、行ってみてからのお楽しみね〜』
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
