先輩 ページ41
クリスマスの日に、告白して付き合い始めてから、もう2ヶ月くらい。
もとから2人で出かけることがあったから、付き合ってからも特に変化の無い日々がもう2ヶ月目になってしまったのだ。
僕はふと思った。
先輩、って距離あるな、言ちゃんはさん付けで呼ばれてるのに。
いやまあ、僕は大学の先輩だからそりゃあ先輩なんだろうけど、同い年の言が言さんなのに彼氏の僕は先輩ってなんか違和感。
とりあえず今週末はデートだし…その時にちょっと話してみようかな。
『問先輩！お待たせしました』
やっぱり今日も可愛い。会社にはして来ないような少し濃いめのメイクも、白い肌に良く似合う。
「全然待ってないよ、てかリップの色とかいつもと違うね？会社とメイク変えてる？」
ちなみに付き合ってからも、楽しみすぎて待ち合わせの30分前に着く癖は治らない。治したくはない。
『今日のメイク似合ってないですか…？』
悲しそうにこちらを見上げるAちゃんを見て、伝える順番をミスったことを悟った。
「ううん、新鮮な可愛さでドキッとしちゃった」
照れながら笑うこの可愛さは、言にもオフィスのみんなにも見せたくない、僕だけの宝物。
『会社行く時もこのメイクだったら嬉しい？』
「だめ、可愛すぎてみんなが惚れちゃうからデート専用にして」
今日はいつもの5倍くらい甘い雰囲気だなぁ。
『ふふ、そうします、
それでえっと…今日はどこいくんでしたっけ？』
「あーなんか横浜をブラブラしようかなって思ってたんだけど……観覧車とか乗る？」
『わー最高ですね！！！混んでないし乗りましょー！』
「ね、もしかして高いところ怖い？大丈夫？」
『え………と…問先輩…隣……来て欲し…』
「怖かったのに無理させちゃった？ごめんね」
『ううん！先輩がいれば大丈夫です！』
「それ」
『へ？』
「それ、先輩ってやだ。言ちゃんはさん付けなのに僕は先輩」
『だって先輩は大学の』
「じゃあさ、二人でいる時は先輩なしにしてよ」
『なんて呼んで欲しいんですか？』
「問、がいい」
『えーーーハードル高すぎますって！』
「Aちゃんが聞いてきたんじゃん！笑」
『む……じゃあ間をとって、問くん、はどうですか？』
「ヤバ、もっかい言って」
『問……くん？』
「ヤバいねそれ、あと敬語も禁止」
『え……と…じゃあ……問くん……って呼びま……呼ぶね？』
悩殺された……
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
