【QK】憧れだけじゃ終われない！(w/mn) (ページ31)

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Ep.9'_ ページ31

年が明けて、Aちゃんが徐々に撮影に参加するようになった。

僕の必死の勧誘が功を奏したのか、社内では「めちゃくちゃ強い子を入れたのは問の手柄」みたいになっててちょっと嬉しい。

てことで初めの頃は、Aちゃんは僕と一緒に撮影することが多く、よく一緒に帰っていた。

一緒に帰る時は毎回、あの日行った居酒屋に行く。

もうすっかり常連だ。
お店の人からカップルって思われてたりするんじゃない？

都合の良い勘違いを想像してはニヤけて、そんな自分に気持ち悪くなってくる。

勘違いだけで終わりたくなくて、勇気を出したことがある。

たった1回だけ。

「今日朝作ったケーキがめちゃくちゃ美味しくてさ〜」

…ここで、食べてみたいです！と食いついてくるのがいつもの感じだ。読めている。この勝負、貰ったぜ………！！！

『えー！問先輩のお手製ケーキですか！？食べてみたいなぁ』

ほらみろ。思い描いていた計画通りにAちゃんとの会話が進む。

「…僕の家に、食べに来る？？」

『えぇ？！今からですか？』

「もちろん！」

『じゃあ……先輩の美味しいケーキ食べさせてください！』

目を輝かせるAちゃんに、朝焼いたケーキが期待に応えられているかどうか少し不安になる。

あれ…？てかこの子、もし言ちゃんに誘われても同じように着いてっちゃうのかな？

言ちゃんとAちゃんはあくまで同僚的な関係でしかないのに、急に不安になる。僕もまだただの同僚だけど。

「僕だからいいけどさ〜、他の男の人……たとえ言ちゃんでもケーキに着いてっちゃダメだからね？」

男は怖いぞー！と、釘をさしておく。
Aちゃんは僕にだけ心を許しておいてくれればいいのだ。

僕は絶対大事にするからね。もうそれは決まってるの。

全欲求を封印して、その日はちゃんと終電までに返してあげた。

別の日、AちゃんからヤバいLINEが来た。

『大学が夏休みに入るんですが、2人で出かけませんか？クイズのネタでも探しに行きませんか？』

僕の頭の中を、色んな思考が駆け巡った。

僕がクイズ好きだから誘ってくれたのかな？
でもそしたら言ちゃんも誘うよな？
なんで2人なんだろう？
もしかして僕のこと好きなの？
いやいやそんなわけないよね？だってクイズのネタとか言ってるし僕が目当てじゃなくてクイズが目当てだよね…？

読む時に間違えて既読を付けてしまってから、2日経った。