Ep.8'_ ページ30
帰り、僕も同じ時間にあがって、駅まで一緒に行こう！と声をかけてみた。
何度も言うが、下心はない、ないはずだ。ないつもりなの。
駅までの道で話してたら、なんとお互い大学の近くに住んでいることが判明。使ってる路線も全部同じだった。
電車に乗って、僕は必死にAちゃんを勧誘する。
一緒にいる口実が欲しかった。
「いいじゃーん、Aちゃん、僕らと動画出ちゃおうよ〜」
『ふふ、楽しそうですよね。…』
座席に座って楽しいよ！！なんて熱弁してると、ふと肩重くなる感じがした。
横を見ると、小さい頭が肩にちょこんと寄りかかっていた。
まつ毛、なっがー………
あまりにも耐えられないシチュエーションすぎて、僕の中の僕が叫び出しそうだ。
それでもあまりに気持ちよさそうに眠っているAちゃんを僕は起こす勇気もなく、最寄りも知らなかったのでそのまま僕の最寄りまで起こさないことにした。
最寄りに着く時に、可愛い寝顔を惜しみながら一報入れる。
「Aちゃん、起きてぇ」
『あ……寝過ごしちゃった』
どうやらAちゃんの最寄り駅はもう過ぎているようだった。
まだ一緒にいたくて、夕飯に誘ってみる。
「大きい駅だし、この駅の近くでご飯食べていかない？」
なりゆきで決めた居酒屋に入って、僕は生ビールを頼む。
本当はお酒は強くは無いんだけど、かっこつけたくて背伸びしてしまった。たぶん3本までなら、記憶消えないくらいで済むはず。
Aちゃんは未成年だから、ソフトドリンク。
なんかこういうところすら愛おしく感じてしまう。
この気持ちは、まだ認めたくない。
てかソフトドリンク頼んでるのは年齢的に当たり前だからね！？
そんなこんなで、Aちゃんと話しているとすぐにラストオーダーになってしまった。
人とこんなに長い時間話すなんて久しぶりだ。
Aちゃんがトイレに行ってる間にお会計を済ませておく。
僕天才すぎない？これはAちゃんも惚れちゃうね。きっと。ふふふふふふふ。
行けると思っていたけど、やっぱり3杯も飲んだら、酔っ払ってはしまったみたいで。
「Aちゃんうち泊まってく〜？へへは〜」
いやべつに来てくれてもいいんだけど、よく考えたらヤバいこと言っちゃった。セクハラ未遂だ。
『しっかりしてくださいよ！1人で帰れますか！？』と煽られたので、舐めるなと怒っておいた。
ほんとは同じ場所に帰りたい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 129人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
