Ep.7__息継 ページ17
「さぶちゃんねるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ！ｯｯｽｩ」
問ちゃんの、いや、問先輩の元気な第一声でサブチャンネルがスタートした。
福良さんとある程度動画の方針の打ち合わせをした際、「普段どう呼んでるかは別として、今回は後輩ってことで動画来てもらってるから、問先輩って呼んでもらえるといいかな。」と、福良さんに呼び方指定を食らったのだ。
これはもう、独り言でも迂闊に問ちゃんなんて言えない感じ。
izw「今回は、問が主催した大会で優勝した問の後輩ちゃんがスゴすぎるらしいので振り返りをしていこうと思います！」
mn「珍しいですね、abc以外の振り返りするの」
izw「そうなんだよ、あまりにもスゴすぎるからさぁ」
mn「じゃあちょっと自己紹介してもらいますか？」
『はじめまして！東京都立大学1年生、クイズ研究会所属の滝本です！』
無事収録が終わって、帰ろうと準備していた時。
また伊沢さんに呼び止められた。
「滝本さんさ、ちょっといい？
滝本さん、動画出演とか興味無い？」
『へ？』
思わず声が漏れてしまった。
え、どういうこと？
動画って女性の方ほとんど出てないよね？
いや、ジェンダーとかじゃなくて、生物学的に男性しか出てないよね？？？
焦りすぎて色んな思考が頭を巡る。
「いや、今日のインタビューとかサブチャンとか、この前の大会の様子もマジで才能感じたし。うちでバイトしてみたいって少しでも思ってくれてるんだったら、編集とかのバイトの傍らでたまにメインで動画出てくれないかなって」
問先輩は伊沢さんの後ろで、やろうぜ！みたいな顔してる。
そんな顔みたら、即決したいんだけど。
ちょっと躊躇う部分もある。
『…少し考えさせてください！』
笑顔でそう言って、その日はオフィスを後にした。
帰り、ちょうどタイミングが合ったので、お互い都立大の近くに住んでいることが判明した問先輩と2人で電車に揺られて帰った。
「いいじゃーん、Aちゃん、僕らと動画出ちゃおうよ〜」
『ふふ、楽しそうですよね。…』
そんな会話をしていたが、インタビューに撮影に結構体力を使ったので、2つ横並びで空いた座席に座るや否や意識が遠のいてしまった。
最寄り駅を知らない問先輩は、どうしてか、肩に私の頭を乗せたまま、先輩の最寄り駅までゆらゆらと電車に揺られていた、らしい。
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
