Ep.6__住所 ページ13
大会が終わった次の日、お礼とかした方がいいのかな、なんて考えながら、問ちゃんにLINEをしようとしてみる。
『問先輩、昨日は大会お疲れ様でした。
大学で誘われなければ縁がなかった大会だったので、優勝できてとても光栄です！また先輩が大会を開かれる時誘ってください🙏笑
それと、先輩ともクイズやりたいです！またお時間あれば大学に顔出しに来てくださったら嬉しいです〜✨️』
なんか、要求しすぎかな
いや、ふつうかな
こういうの送る時はやっぱりつい考えすぎてしまう。
『あﾞーーーーー！！！』
こういうときのLINEがわかんなすぎて助けて欲しい。
その時、ちょうど後ろから同じサークルの先輩に肩を叩かれた。
そのはずみに。
送信ボタンの近くにあった親指が、紙飛行機のマークを押してしまった。
無心で打ったちょっと図々しい文章が、送信されてしまった。
『あ、あっ………あー！！！！！！』
急に叫び出す私に先輩もビックリしたようで、
「え！？なに！？私何かした！？！」
と不安そうにしている。
いや、私が何かしたんだけどね。
しかも不幸なことに、送信取り消しをする前に既読をつけられてしまった。
問ちゃんって既読早いんだ。
焦っていても、新しい発見があるとニヤニヤしちゃう。
いや、ニヤニヤしてる場合か？
この図々しい文章を、もう相手は読んでしまっているのだ。
諦めて、その時だけは携帯をカバンの奥にしまった。
夕方、サークルが終わって携帯を開くと、2時間前に通知が来ていた。しかも5件。
メッセージの主は…
やっぱり、東問。
え、多すぎじゃない？
多分あのLINEの返信だろうな、と見当はつくものの、5件って心当たりが無さすぎる。
もしかして図々しすぎて説教されてる？？
ビビりながらトークルームを開くと、
「Aちゃん！LINEしてくれてありがとう。
また僕が大会開く時LINEするから、絶対来てね？」
「僕もあんな強いAちゃんとボタン押したいから、機会作ろう」
「あ！そういえば昨日撮ったツーショ送るね」
「📷」
「あと昨日言ってたウェブ記事の話なんだけど、近いうちにオフィスでインタビューしたいってことらしいので編集部さんにLINE渡しちゃって大丈夫かな？」
いや、切りすぎやろ
って思ったのは内緒で、多分最後の一通が1番大事なやつだよね。
早く、返信しなきゃ。
憧れから近くなりすぎてる問ちゃんに。
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作者名：莉愛 | 作成日時：2024年1月21日 21時
