告白 ページ17
そして春休みに入って少しして翔平くんが寮へと向かう時が来た。
翔平くんの家の前に車が停められてそこに荷物なんかをお父さんと積み込んでいた。
私とお母さんが近づくと気づいたかよちゃんが来てくれた。
「おはよう、翔平のお見送りに来てくれたの?」
「おはよう〜、勿論よ!あのちっちゃかった翔平くんがもう高校生だなんて!」
お母さんとかよちゃんは楽しそうに喋っていて、私は荷物を積み込んでいる翔平くんをじっと見ていた。
すると、私の視線に気付いたのか隣のお父さんに何か話した後、私の元へと来てくれた。
「おはよ、来てくれたんだ。」
「うん。来たよ。」
「俺がいなくなるから寂しいんだろ?」
「…別にそんなことないし。」
またいつもの意地悪な顔で笑いかけてくる翔平くん。
翔平くんとこれからは全然まともに会えなくなると思うとすごく悲しかった。
けど…
「…私、花巻東行くから。…待っててね。」
照れ臭くて尻すぼみになりながらゴニョゴニョ呟く。
やっぱり寂しいんだ〜とか言ってからかってくるかと思ったのに黙り込んでいる翔平くん。
なんだか恥ずかしくなって何も言えないでいた。
「俺、Aのこと好きだから。」
翔平くんの言葉が耳に届いた瞬間、お母さんとかよちゃんの喋り声も車のエンジン音も何もかもが聞こえなくなって世界に私と翔平くん、2人きりになったみたいに他の音が何も聞こえなかった。
翔平くんが言ってくれたから、私も何か言わなくちゃ
嬉しさと驚きとでろくに働いてくれない頭で絞り出した言葉は
「わっ…、私も、翔平くんの、こと…が、好き…だよ…。」
文章じゃないみたいに途切れ途切れに口から出てきたけど、翔平くんには充分伝わったみたいで。
さっきの意地悪な笑顔とは打って変わって優しい笑顔で私の両手を握って
「高校では付き合うことも出来ないし、野球に専念するからAのこと放ったらかしみたいになっちゃうかもしれないし。いつまで待たせるかも分からない。でも俺はずっとAのことが好きだし、絶対に迎えに行くから俺を信じて待っていて欲しい。」
そんなことを言ってあの暖かい笑顔のまま私の頭を撫でて、寮へと向かって行った。
1297人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みねるば(プロフ) - きまさん» 初めまして!いつも読んで頂きありがとうございます!素敵なコメント本当に嬉しいです…! (2023年4月12日 23時) (レス) id: 70cdba34fe (このIDを非表示/違反報告)
きま(プロフ) - はじめまして!いつも楽しみに読んでいます!みねるばさんの書くお話が大好きです!これからも応援しています♡ (2023年4月12日 23時) (レス) @page37 id: f0d962c024 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みねるば | 作成日時:2023年4月2日 16時