なにわともあれほんまにありがとう 〜もしもの世界〜 第四章

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橙side






…その後、おとんはうちと兄さんを連れて施設に向かった





入り口に入れば一人の女性が立っていた






『…お願いします。…ほら、行け』





背中を押され女性に抱き止められる





『…はい』






…どういう事？




兄さんを見た





兄さんは俯いたままで何とも言ってくれない






『…照史、』





ガバッと抱き締められた






肩に涙が落ちる






『…何でないとるん…？兄ちゃん』





ぎゅっと力が籠る




『…んーん。何でもない。…じゃあな、あき…』




『…兄ちゃん…？』





その時悟った





置いていかれるんだと






『、っ、……、待って、待ってぇ…、！




泣いた


泣きわめいた





そうすれば優しい兄さんは止まってくれると思ったから





でも止まらない




振り向いてすらくれない






『、っいやっ、！！、いややぁ、！！、ええ子に、ええ子にするからっ、行かんで、おいていかんでぇえっ、！！』









『…うちは誰？ここは、どこ？』




目覚めた頃には全ての記憶を消し去っていた





己を守るため

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