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no side




「……酒に酔って路上で騒いでいた所を
Aちゃんのお父さん…忠雄さんが補導したみたい。
どうやらそこで雇われたみたいだね。」


『……何か、意図があって雇ったのかな。』


「……給料は結構多めに支払われていたらしいから
ほとんど無理やり状態だったのかも。」


『……そっか。それでいつもあんな事を……』





駿東は磯山が世話をする度に愚痴をこぼしていた事を
思い出し目を伏せる。





「磯山さんは終身雇用、って事を踏まえると
"何としてでもAちゃんの存在を隠したかった"
って事かな……」


『……そう、だろうね。
情報は墓場まで持って行けって事だ。』





はぁ、と溜息をついてうつむいてしまった駿東。
諸伏はそんな駿東の背中に手を添えた。





「……次は松田だったよな。」


「おう。……"東都児童養護施設"について調べた。
火事が起きたのは5年前の1月3日午前1時35分。
火元は共同スペースに置かれたストーブ。
火の回りが速くてあっという間に燃えちまって、
全員寝てる間に亡くなったそうだ。」


『……1時35分……』


「Aちゃん何か気になる事が?」




あごに手を当てた駿東に諸伏が尋ねる。
駿東は小さく頷き口を開く。




『1時35分って確かに就床時間は過ぎてるけど
全員寝てるのはちょっと不自然だな……って。
職員は準備とかで起きてたり、中には寝られない子も
私の時にはいたんだよね。』


「俺もそれを考えてさらに調べたぜ。」


『!』


「まず新事実1つめ。
学習机の付近で亡くなった子どもが数人いる。
"全員寝てた"ってのは嘘だったわけだ。
んで2つめ。職員の1人が洗面所で亡くなってる。
手洗い台の前でうずくまった状態で、な。」


「手洗い台?火事に気付いてなかったのか……?」


「そうなるだろ?あとは換気扇が稼働中だったとか。
でもこれ以上施設内の情報は出てこなかった。
だから1つ予想を立てた。」




そう言って松田は人差し指を立てる。




「麻酔作用のあるガス。
これが換気扇から流し込まれたとする。
そうすりゃ全員夢の中だ。火事にも気付けねえ。」


『なるほど……
もし薬品がジエチルエーテルとかで引火性があれば
火の回りが速かったのも頷ける。』





駿東は松田の仮説に頷いた。

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沙羅(プロフ) - ぴのさん» 初めまして!コメントありがとうございます!なんと!最初から着いてきて下さっていたんですね…!ありがとうございます!!あああ、嬉しいです、面白いって言って貰えるだけで超頑張れます…!もうすぐ続編にいきますので、どうぞこれからもよろしくお願いしますー! (2022年5月3日 13時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - はじめまして!この小説は、始まってからずっと読ませていただいています。とっても面白くて、何度も読み直してしまいます笑オリジナルの部分もとても面白くて、いつも楽しみにしています!お忙しいとは思いますが、これからも応援しています!! (2022年5月3日 11時) (レス) id: dcb92af278 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!長文大歓迎です最高に嬉しいです!!お話は悩みながら構成していたので、そう言って貰えると本当に救われます…ありがとうございます!萩原くんとの絡みも増える予定です!まだまだ更新していきますので、どうぞよろしくお願いします!! (2022年5月1日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - すみません、思い返したところ警察学校編の単行本からのようでした…!大変申し訳ありません! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 3回に分けた長文コメ失礼しました!これからも更新頑張ってください!!応援しています!! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2022年1月3日 2時

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