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「これから会議なのか?」


『ん。天勝さんに呼ばれた。』




駿東はそう言っていくつかの書類を束ねる。
出生に関する書類も混ざっているのを見て、
降谷は怪訝そうに駿東を見た。




「……危険なことはするなよ。」


『! ははっ、ここまで来たらそれは難しくない?』


「……」


『……分かってるよ。ありがとう、零。
……でも、刺し違えてでも奴らを根絶やしにしなきゃ、
皆が報われない。』




強い意志の宿った双眸が降谷を捉える。
その迫力に、そのどこか危うさを孕んだ瞳に、
降谷は何も言えなくなってしまった。




「……」


『じゃ、ちょっと行ってくる。』


「ッ……A、」


『ん?』




降谷は自分の横を通り抜ける駿東の名を呼ぶ。
自分が何を言おうとしているのか考える前に、
駿東を呼び止めていた。




「……ッ、僕は何も出来ないのか?」


『え?零は優秀だし、大体の事は出来るんじゃ……?』


「……そうじゃない。
僕は、ある程度の事情を知ってるつもりだ。
Aが真実を話してくれたと信じてるから。」


『……』




駿東は黙って続きを促す。




「警察学校を出て、今一緒にいるのは僕だけだ。
そして僕はAの幼馴染みだ。」


『……うん、』


「……僕には何も出来ないのか?
僕は……Aが1人で遠くに行きそうで怖い。」




眉を下げて駿東を見る降谷は、
必死に言葉を紡いでそこまで告げた。




『……私は零達がいるだけで……、』




駿東はそう言って口を閉じる。
これから天勝に話される内容は予想がついていた。

数ヵ月後には命日(・・)が来る。
"組織"が、自分が動くのはこの時しかない。


自分が組織に潜入したなら、命の保証は無い。
それを分かっていた駿東は口ごもる。




駿東は目を閉じて息を吐き、ゆっくり降谷を見る。




『……もし、私に万が一があったら……
……仇をとって。』


「!! 何言って、」


『……こんなの零にしか頼めないよ。
警察学校を主席で出た超優秀な警察官だもん。
……それに、』




駿東は困ったように眉を下げつつも、
はにかむ様に、嬉しそうに微笑む。




『零は、私と景光の自慢の幼馴染みだから。
きっと出来るって信じてる。』


「!」


『勿論、零に危険な目に遭って欲しくない。
……だから万が一は起こさないけどね。』




駿東はニッと自信ありげに笑って拳を向ける。
降谷も少し困ったように笑ってから拳を当てた。

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沙羅(プロフ) - ぴのさん» 初めまして!コメントありがとうございます!なんと!最初から着いてきて下さっていたんですね…!ありがとうございます!!あああ、嬉しいです、面白いって言って貰えるだけで超頑張れます…!もうすぐ続編にいきますので、どうぞこれからもよろしくお願いしますー! (2022年5月3日 13時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - はじめまして!この小説は、始まってからずっと読ませていただいています。とっても面白くて、何度も読み直してしまいます笑オリジナルの部分もとても面白くて、いつも楽しみにしています!お忙しいとは思いますが、これからも応援しています!! (2022年5月3日 11時) (レス) id: dcb92af278 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!長文大歓迎です最高に嬉しいです!!お話は悩みながら構成していたので、そう言って貰えると本当に救われます…ありがとうございます!萩原くんとの絡みも増える予定です!まだまだ更新していきますので、どうぞよろしくお願いします!! (2022年5月1日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - すみません、思い返したところ警察学校編の単行本からのようでした…!大変申し訳ありません! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 3回に分けた長文コメ失礼しました!これからも更新頑張ってください!!応援しています!! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2022年1月3日 2時

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