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「荷物は積み終わりましたか?」


「『はい。』」


「では車に乗ってください。
このまま警察庁に向かいます。」




自分達の荷物を荷台に積み終わり、
後部座席に座る降谷と駿東。

迎えの車を運転してきた男性の淡々とした態度に
少なからず緊張していた。




「……2人は仲が良いんですか?」




車が動き出してからしばらくして、
男性がバックミラー越しにそう尋ねた。




「はい。幼馴染みです。」


「そうでしたか。それはお互い心強いですね。
我々はほとんどの関係を絶っているので
本当に珍しいというか……大切な縁なのでしょう。」


『……そうですね。
零が一緒で安心してるのは事実だし、』




ぼそ、と呟いた駿東。
その瞳には僅かに悲しみの色が浮かんでいた。




「……僕達はこれから何を?
天勝さんからは手続きの書類を書くことと、
住居について説明がある、ということしか……」


「あぁ、そうでした。えぇと……概ねその通りです。
着いたら配属先について説明しますので、
その時に書類等々を書いてもらうことになります。

その後に先程積んで貰った荷物を持って、
これから住んでもらう場所へ移動します。
今日はそれでお終いです。」


「分かりました。ありがとうございます。」


「…………あ!忘れてた。
お2人……というか降谷くんには偽名を考えておいてと
伝えるように天勝さんから。」




それを聞いて駿東は横の降谷を見る。
どんな偽名にするのか少し楽しみにしていた。




「偽名……」


『確かそれで外用の身分証を作るらしいよ。
連絡先とかも。』


「なるほど。……Aはもう決まってるのか?」


『うん、私は潘A。……海外で使ってたやつ。
名前が知れているからこそ、それを利用するみたい。』


「名前は同じなんだな。」


『それは思ったんだけど……
天勝さん何も言わなかったから何か考えがあるのかも。』


「そうか。」




それから警察庁に着くまで、
降谷はしばらく黙って考えていた。





『何か浮かんだ?』


「いや……さっぱり。」


「そんなに難しく考えなくて大丈夫ですよ。
中にはあだ名から文字ったとかいう人もいます。」


「『あだ名……』」




駿東が降谷を指でさす。
降谷もハッとしたように駿東を見た。




『零……ゼロ……ってことは、"何も無い"。
"何も無い"ってことは目に見えない。』


「……透明、か。」


「『……透?』」




思わず揃った声に3人共おぉ、と声を上げた。

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沙羅(プロフ) - ぴのさん» 初めまして!コメントありがとうございます!なんと!最初から着いてきて下さっていたんですね…!ありがとうございます!!あああ、嬉しいです、面白いって言って貰えるだけで超頑張れます…!もうすぐ続編にいきますので、どうぞこれからもよろしくお願いしますー! (2022年5月3日 13時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - はじめまして!この小説は、始まってからずっと読ませていただいています。とっても面白くて、何度も読み直してしまいます笑オリジナルの部分もとても面白くて、いつも楽しみにしています!お忙しいとは思いますが、これからも応援しています!! (2022年5月3日 11時) (レス) id: dcb92af278 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!長文大歓迎です最高に嬉しいです!!お話は悩みながら構成していたので、そう言って貰えると本当に救われます…ありがとうございます!萩原くんとの絡みも増える予定です!まだまだ更新していきますので、どうぞよろしくお願いします!! (2022年5月1日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - すみません、思い返したところ警察学校編の単行本からのようでした…!大変申し訳ありません! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 3回に分けた長文コメ失礼しました!これからも更新頑張ってください!!応援しています!! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2022年1月3日 2時

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