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『……何を聞きたいのか分かりませんので、
私が自由に話してもよろしいのでしょうか。』


「ははは、良いとも。時間はたっぷりある。」





聞こうじゃないか、と天勝は目を細めた。





『ありがとうございます。では昔話から……』





駿東はそう切り出して自身の過去を話した。
天勝は黙って聞いていた。





『……私の家族も、施設の仲間も死にました。
そしてその事件は迷宮入りで片付けられています。』


「ほう……」


『最初はFBIが隠しているのだと思っていました。
なにせ私の母はFBIの人間でしたので。』




駿東は天勝の様子を伺う。
天勝の表情は変わらない。




『……しかしよく考えたら違いますよね。
ここは日本。日本で起きた事件をFBIが隠す?
FBIにそんな大きな権限があると思えません。』


「……」





ここで初めて天勝が唇を横に引いた。
意地の悪い、そんな笑みを浮かべた。

それを見た駿東もまた目を細め、
ついにその"単語"を出した。





『通称"黒の組織"は全世界で勢力を広げていて、
各国が対策を練っていると聞きました。

そんな"組織"の犯罪を日本政府が……
警備局(・・・)が世間の目に晒させる訳ないですよね?
そして深く関わっているであろう私を、
見逃し、野放しにするとも考えられません。』



「……あえて部局は伏せていたのになぁ。
ははは……君は我々の仕事を理解しているようだな。
君の言う通りだよ。あの事件は我々が隠蔽した。」





思い出すかのように呑気に目を閉じ頷く天勝に
駿東は静かに口を開く。





『……天勝さん、私まだ昼食を取っていないんです。』



「!」





今度は駿東が天勝に鋭い視線を送る番だった。





『過去も、私の考えも話させて頂きました。
……私が"組織"に狙われていることも知ってますよね?
ここに来た理由を話して貰えますか?』


「……君なら予想は着いていると思うけどね。」





天勝は肩を竦めて笑う。







「私がここに来た理由は1つ。
──────君を警察庁警備局に引き入れるためだ。」







駿東は1つ瞬きをして頷いた。







『私を"囮"に使うんですね。』


「囮だなんて人聞きの悪い。"潜入捜査"だよ。」


『はっ……物は言いようですね。』






駿東は鼻で笑い、冷めた目で天勝を見た。

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沙羅(プロフ) - ぴのさん» 初めまして!コメントありがとうございます!なんと!最初から着いてきて下さっていたんですね…!ありがとうございます!!あああ、嬉しいです、面白いって言って貰えるだけで超頑張れます…!もうすぐ続編にいきますので、どうぞこれからもよろしくお願いしますー! (2022年5月3日 13時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ぴの(プロフ) - はじめまして!この小説は、始まってからずっと読ませていただいています。とっても面白くて、何度も読み直してしまいます笑オリジナルの部分もとても面白くて、いつも楽しみにしています!お忙しいとは思いますが、これからも応援しています!! (2022年5月3日 11時) (レス) id: dcb92af278 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 空白さん» コメントありがとうございます!長文大歓迎です最高に嬉しいです!!お話は悩みながら構成していたので、そう言って貰えると本当に救われます…ありがとうございます!萩原くんとの絡みも増える予定です!まだまだ更新していきますので、どうぞよろしくお願いします!! (2022年5月1日 18時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
空白 - すみません、思い返したところ警察学校編の単行本からのようでした…!大変申し訳ありません! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)
空白 - 3回に分けた長文コメ失礼しました!これからも更新頑張ってください!!応援しています!! (2022年5月1日 17時) (レス) id: faefab430e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2022年1月3日 2時

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