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no side
『ッ……』
駿東は目の前を滑り落ちる土塊に息を飲む。
雨で緩んだ土の斜面はいとも簡単に崩れ落ちていく。
『(……心
いやこれ気のせいじゃないな。揺れてる。)』
駿東はギリッと歯を食いしばって辺りに目を配る。
足場から届く範囲の斜面は削れており、掴めない。
『あ"ー……詰んだじゃん。何コレ最悪。』
ガラッと一際大きな音がして
足場付近の斜面が崩れる。
一拍遅れて駿東がいる足場に亀裂が入り、
駿東の体が傾く。
『う"、あッ──────』
落雷の音と混じって、足場が崩れる音が響き渡る。
カランと最後の小石が落ちた後は、
雨の音と雲の中で鳴る雷の音しかしなくなった。
─────
─────────
────────────────
「……雷、近くで落ちたみたいだな。」
駿東がいた班の1人がそう呟く。
な、と横にいた佐々木を見ると佐々木の顔は真っ青。
「おい……大丈夫か?」
「き、聞こえたか?今、今の……」
「? 雷だろ?」
「違う……何かが、何かが崩れる音だよ。」
「え……いや、俺は聞こえなかったな。」
佐々木はバッ、と花園を見る。
花園は首を横に振った。
「大丈夫だよ佐々木くん。もしそんな事があっても
Aちゃんは運動神経がいいからきっと無事だよ。
それにね、雨合羽も着てるし雨もそんなに強くないから
明日の朝にこのロープで助けてあげれば良いんだよ。」
「そ、そう、かな……」
「そうだよ。…Aちゃんはちょっと反省しなきゃ。
佐々木くんにひどいことしたんだから自業自得なの。」
「……うん、」
頷いた佐々木に花園はニッコリ笑う。
他の班員は顔を見合わせる。
「じゃあご飯の用意しよっか。」
そう言って持ってきた食料を用意する花園。
急かされた班員たちも慌てて準備を手伝い、
雨音の中食事を済ませた。
「じゃあ……この仕切りから向こうは佐々木くん達ね。
おやすみなさ〜い。」
「お、おやすみ……」
駿東が居なくなっても変わらぬ花園の態度に
恐怖を抱き始めた班員。
皆が寝静まった後、1人が起き上がる。
そして横にいる友人を起こした。
「おい……起きろ、」
「起きてるよ……」
「一応……駿東の様子を見に行こうぜ。
愛華ちゃんはああ言ったけど、」
「……ああ、」
2人はロープを持って静かに小屋を抜け出した。
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沙羅(プロフ) - イル@iruさん» コメントありがとうございます!そう言って貰えて本当に嬉しいです…!!警察学校組の放送開始に合わせてバリバリ更新するつもりなので、どうぞ今後ともよろしくお願いしますー!! (2021年12月5日 16時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
イル@iru - コメント失礼します!面白すぎて一気に読んでしまいました。これから夢主がどうなるか続きが気になります!更新頑張ってください!!! (2021年12月5日 15時) (レス) @page35 id: 9f7598e3df (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 神崎さん» コメントありがとうございます!!ゆっくり更新になってしまいますが、全力で書かせて頂きますー!!どうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 凄く面白いです!!続き楽しみにしてます! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 570d2293d8 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - かるーあ・みるくさん» コメントありがとうございます!!またお会い出来て嬉しいです!!まだまだ続きますので、どうぞよろしくお願いしますー! (2021年7月14日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2021年7月13日 15時