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路地裏の少し開けた場所に出た降谷は
思わず目を見開いた。





積まれたダンボールやビールケース、
その陰に小さくうずくまる駿東がいたからだ。





「A、」


『来ないで!』


「!?」





降谷は踏み出しかけた足を止める。
ただならぬ様子に降谷は息を呑む。





「A……?どう、したんだ?」


『う、うぅ……
ごめんね、ごめんね零……景……みんな……』


「……謝るだけじゃ分からない。
何があったか言えるか?」





降谷はその場にしゃがみこみ
目を合わせようとしない駿東を見る。





『わ、私といたら危ないから、』


「どうして危ないんだ?」





優しい声で尋ねる降谷。
駿東は泣いているのか鼻声で言葉を紡ぐ。





『か、火事、家に火、火を、つけた人……』


「! いたのか?」


『う"ん…きっと探してる、私をコロスために、
だから……一緒にいたら、ッ危ない、』





降谷は顎に手を当てる。
それから辺りを見回して何も無いことを確認する。




「……A、ここには誰もいない。
命を奪えるような何かも無い。」





とりあえず出て来い、と声をかける降谷。





『ッ……』


「大丈夫。」





手を差し出す降谷に
駿東は怯えながらも顔を上げる。


にじり寄って来た駿東をそっと抱き締める降谷。
それからゆっくり背中を撫でる。




「大丈夫だから、な?」


『グスッ……』





落ち着いてきた駿東に
降谷は諭すように話し始める。





「……もしAをコロスつもりだったなら
会った瞬間に手を出してると思わないか?」


『……う"ん、』


「それにAが1人の方が危ないだろ?」


『でも……それなら、私1人で済む……』


「馬鹿だな、Aは。」


『!?』





コツ、と駿東の頭に拳が当てられる。
駿東は驚いたように降谷を見た。





「……萩原には言ったのに僕達には言わない気か?」


『え……』


「大体Aはいつもそうだ。
何でも1人で決めて抱え込む。相談もしない。
アメリカに留学なんて微塵も考えてなかっただろ。」


『!』


「僕達に言う直前に決めたんだろ?
で、その理由も家と施設の火事に関係している。」


『何で……』


「何年幼馴染みやってると思ってるんだ。
僕も景光も気付いてたよ。」


『う"……』





駿東はバツが悪そうに目を逸らした。

・→



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沙羅(プロフ) - イル@iruさん» コメントありがとうございます!そう言って貰えて本当に嬉しいです…!!警察学校組の放送開始に合わせてバリバリ更新するつもりなので、どうぞ今後ともよろしくお願いしますー!! (2021年12月5日 16時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
イル@iru - コメント失礼します!面白すぎて一気に読んでしまいました。これから夢主がどうなるか続きが気になります!更新頑張ってください!!! (2021年12月5日 15時) (レス) @page35 id: 9f7598e3df (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - 神崎さん» コメントありがとうございます!!ゆっくり更新になってしまいますが、全力で書かせて頂きますー!!どうぞこれからもよろしくお願いします! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
神崎(プロフ) - 凄く面白いです!!続き楽しみにしてます! (2021年9月15日 0時) (レス) id: 570d2293d8 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - かるーあ・みるくさん» コメントありがとうございます!!またお会い出来て嬉しいです!!まだまだ続きますので、どうぞよろしくお願いしますー! (2021年7月14日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2021年7月13日 15時

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