・ ページ48
no side
それから時たま赤井とは連絡を取るようになり、
食事に行くくらいまでは仲良くなった駿東。
だがやはり組織の目から逃れるためには
ある程度の行動は制限された。
学校の長期休暇である今はＦＢＩの本拠地である
ワシントン D.C.まで招待されていた。
「ここなら君の命は守れるだろう。」
『ありがとうございます。』
こんなにホイホイ招いていいのか、という言葉は
ジェイムズの優しさに免じて呑み込んだ。
「今後はAくんには本格的に
身を守る術を学んでもらいたいと思っている。」
『！』
「君もいずれはひとり立ちするだろう。
日本に戻るならなおさらだ。
我々がずっと守れるとは限らない。」
『そう、ですね。確かにいつまでも
おんぶにだっこじゃ駄目ですよね。』
ジェイムズ(アメリカに戻って来ていた)は
白い布に包まれた物を駿東に渡す。
それは重量感があって、
駿東の手にずっしりと存在を主張した。
『これは、まさか……』
「ああ。拳銃だ。
グロック17と言って比較的扱いやすい。」
『……』
駿東はそっと白い布を取って黒く光る拳銃を眺めた。
『……私は、人を撃つんですか？』
「そんなことは無い、とは言いきれないが、
そのような状況にならないように最善は尽くす。
君が拳銃の扱い方を覚えるのは護身用だが、
……万が一の時は覚悟して欲しい。」
『……分かりました。』
駿東は拳銃を両手で持ったまま頷く。
ジェイムズが射撃場に案内する、と言って
駿東の前を歩き出した。
──────
────
『……
(本で読んだ姿勢は確か……
利き手の足を半歩引き、半身で利き腕を前に伸ばす。
もう片方の腕は曲げて下の方からそえる……)』
「！」
駿東は撃つ直前、ほんの少し躊躇した。
正直に「怖い」という感情が脳を占拠したからだ。
『ふぅ…………』
大きく息を吐いた駿東。
僅かに震えていた手がピタリと静止する。
空を切り裂くような破裂音がして、
駿東は想像以上の衝撃に僅かによろけた。
その背中をジェイムズが支えた。
『あ、ありがとうございます、』
「……凄いな。」
『え……？』
ジェイムズの視線は的の上で止まっている。
駿東もしっかり目を開けて的を見た。
『ま、真ん中……！？』
弾丸は的紙の中心に穴を開けていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1673人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます(´；ω；｀)無理せずに頑張ってください！ (4月25日 6時) (
レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - の〜さん（旧もこ）さん» ご意見ありがとうございます！一応「救済」路線で書いておりますので、余程のことがない限り……という予定です！駿東ちゃん頑張りますのでぜひ見守ってあげてください！(笑) (4月25日 1時) (レス) id: fccd246cdb (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - あと誰にも氏なないでほしいです。 (4月24日 18時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん（旧もこ）(プロフ) - 沙羅さん» コメント返してくださりありがとうございます！LOVEの件もありがとうございます！ (4月20日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - の〜さん（旧もこ）さん» コメントありがとうございます！逆ハー良いですよね♡なるべく多くのキャラクターを出して行けるよう頑張りたいと思います！Loveな雰囲気も出せるよう頑張ります！！更新ゆっくりになってしまっていますが、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします！ (4月20日 17時) (レス) id: fccd246cdb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙羅
| 作成日時：2021年5月5日 13時
