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3───23年前 ページ19

no side





「一年生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
皆さんは─────」





桜の花びらが舞うある朝。
東京都内の小学校で入学式が行われた。


背に合わない大きくて新しいランドセルを背負い、
不安と期待に胸を躍らせる。
その中には駿東もいたが、
彼女は歳の割に落ち着いた顔で座っていた。


駿東は昨年の事件後、
引き取る親戚は現れず養護施設に入れられていた。
今日もまた、施設から小学校に来ていた。





「それじゃあ1年2組のみんなは
先生に着いて来てね!」





入学式も無事終わり、
教室移動のために担任が声を張る。
駿東は置いていたランドセルを背負い直して、
体育館を後にした。


教室へ向かう道中、駿東に1人の少年が近寄る。
親にセットされたのか、髪が整っている。





「なあなあ!」


『何?』


「なんでみんなと髪と目の色がちがうの!?」




無遠慮に投げ掛けられた質問に、
駿東は目を瞬かせて少年を見る。




『色素の話と遺伝子の話、どっちから聞きたい?』


「し……?な、なんだよ!それ!!」


『色が違う理由が知りたいんでしょう?』




相変わらず本の虫だった駿東は
さらに知識の量が増えている。
もはや一年生のそれじゃあない。




「ッ……もういいよ!!
ヘンな色のやつはヘンなこと言うんだな!!」




自分が理解出来ないことを言われた少年は、
一年生ながらプライドを傷付けられたのか
顔を赤くしてそう吐き捨てる。




「なに言ってるかイミわかんねー!!」




少年はグイッと駿東の髪を引っ張る。




『いたっ、』


「うわー!さわっちゃった!!
ヘンな色がうつるー!!」




ぎゃーっと騒いで走る少年に、周りの児童達も
駿東の方を見て変なの、だのと同調する。


駿東は先程の少年を捕まえようか、と目を細めるが
警察官になるなら、と何とか苛立ちを抑え込む。


結ばれていた髪を軽く整え、
奇異なものを見る目を無視して歩き始めた。





「なぁ、」


『何?』





再び呼び止められた駿東は振り返って
ほんの少しだけ目を見開く。
そこにいたのは金髪、褐色肌、碧眼の少年だった。


その少年はまだ騒いでいる先程の少年を横目で見て
駿東にムッとした顔で尋ねる。





「怒らないのか?」


『どうして?』


「だってヘンって言われてただろ。」


『別に私は気にしないよ。
だって髪の色が違うのは本当だもん。』





駿東はさも当然のようにさらりと言ってのけた。

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の〜さん(旧もこ)(プロフ) - 沙羅さん» ありがとうございます(´;ω;`)無理せずに頑張ってください! (4月25日 6時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - の〜さん(旧もこ)さん» ご意見ありがとうございます!一応「救済」路線で書いておりますので、余程のことがない限り……という予定です!駿東ちゃん頑張りますのでぜひ見守ってあげてください!(笑) (4月25日 1時) (レス) id: fccd246cdb (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - あと誰にも氏なないでほしいです。 (4月24日 18時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
の〜さん(旧もこ)(プロフ) - 沙羅さん» コメント返してくださりありがとうございます!LOVEの件もありがとうございます! (4月20日 17時) (レス) id: 79dfdf41ef (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - の〜さん(旧もこ)さん» コメントありがとうございます!逆ハー良いですよね♡なるべく多くのキャラクターを出して行けるよう頑張りたいと思います!Loveな雰囲気も出せるよう頑張ります!!更新ゆっくりになってしまっていますが、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします! (4月20日 17時) (レス) id: fccd246cdb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2021年5月5日 13時

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