許嫁で純愛 第２章【呪術廻戦】

六十一本 ページ14

no side




「ヒャアッ！！」


『！』




回避した五条と、さらに後ろにいたAの横から
噴火口の様なものが現れる。



ボウッ、と炎が吹き出し
五条とAはその炎に包まれる。



炎は付近の木にまで及び道路は熱で溶かされた。





「存外、大したことなかったな。」





呪霊が嗤う。





「誰が、大したことないって？」


「！」





五条は傷一つ無い状態で炎の中から現れる。
それどころか足元も無傷だった。
さらにそれはAも同様。





「小童共め。」



「(呪霊のくせに
しっかりコミュニケーションがとれる。
その上この呪力量、未登録の特級か……


恐らく今の宿儺より強い……！！)


特級はさ、特別だから特級なわけ。
こうもホイホイ出てこられると調子狂っちゃうよ。」






呪霊はニヤリと笑って構える。






「矜持が傷ついたか？」


「いや、楽しくなってきた。」





コキ、と手首を鳴らす五条。
それから人差し指をAに向けて振った。
「回避」の合図だった。





「楽しくなってきた……か。危機感の欠如。」


「(わざわざ人のいない所で、
いや、他の術師の加勢を避けたのか。
Aが指示無しで動かないことを知ってる……？)」





ぽんっ、と呪霊の頭部から小さな何かが飛び出す。
それは大量の蠅頭の様ではあったが
恐らく呪霊が生み出したモノ。





「"火礫蟲"！！」


「(ま、僕らを狙ってきたのは確かだね。)
危機感の欠如……ね。」





火礫蟲と呼ばれた蟲は五条に飛ぶが、
それのうち数匹はA目掛けて飛んでいった。

もちろん五条は呪術で防御し、
Aも回避した先で同じ呪術で防御する。





「これ当たるとどうなんの？」





ビタビタッと空中で止まった火礫蟲に触れる五条。
刹那、火礫蟲は気味の悪い声で悲鳴を上げた。





「(音？)」


『(連動してこっちも鳴き出した……)』





カッ、と火礫蟲が光ったと思うと
小さいながらも高威力で爆発した。





五条はヒラリと跳躍して
道路脇の塀の上へと着地する。





「音と爆発の二段構え。器用だね。」





ほとんど同時に登って走り寄る呪霊が
五条の頭部を炎で燃やす。





「まだまだぁ、」





素早く背後に回り込んで
背中(・・)に触れてもう一度炎を放出する。


次の瞬間には避けていたAの前にも現れて
同じように頭部を炎で燃やした。

六十二本→←六十本

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す