許嫁で純愛【呪術廻戦】

九本 ページ10

no side





「気持ち悪いとか、冷たい言い方したし、」


『そ、それは、さ、悟様は悪くないですｯ！
そう思わせてしまった私が悪いんです。』





Aは何度も首を横に振る。
五条はそんなAの引きつった唇や
困った様に曲げられた眉を見てぐっと拳を握る。





「……A、だっけ。」


『は、はい！』


「……Aはさ、俺と同じ十歳でしょ。
……泣きたい時は泣いていいと思うよ。」


『！！』





ガツン、と衝撃を受けたかのように揺れ、
Aは呆然と立ち尽くす。





「笑いたくない時は笑わなくて良いんだよ。
怒りたい時は怒ったって良いんだよ。

父親が言うこと全て正しいわけじゃないから。
好きなだけ反抗しなよ。
あいつのことなんて怖がらなくて良いよ。

──────俺が守るから。」



『ぁ…………』





ぽろり、とAの瞳から涙が落ちる。
またひとつ、またひとつと零れていく。





『わ、わたし、もう無理に笑わなくて良いの……？
イヤなことはイヤって言っても良いの……？』


「うん。
大丈夫。言っていいよ。」





ついにボロボロと泣き始めたAの頭を
五条はそっと撫でる。





「俺が守るってことはさ、
……Aは俺の婚約者になるけど、大丈夫？」


『！
あ……えと、わ、私は大丈夫、ですけど……
さ、悟様は……』


「…………嫌だったらAのこと無視してる。」


『！！』





思わずボッと顔が赤くなるA。
それにつられて五条の頬も少しづつ赤らんでいく。






「……戻ろ。」



『は、はい…………』



「……敬語禁止。」



『は……あ、う、うん……』



「離れて歩くのも禁止。」



『え！？う、うん……』



「俺の名前に"様"付けも禁止。
オドオドするのも禁止。
照れるのも禁止。」



『………………頑張る。』









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