許嫁で純愛【呪術廻戦】

二十本 ページ21

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それから授業や実習などに追われた４人。
季節はあっという間に流れて秋になる。


同級生同士の仲は深まったが、
Aの喉の″呪い″は変わっていない。





『ｺﾞﾎｯ……ｹﾎｯｹﾎｯ……』


「A大丈夫？風邪？」


『……ｹﾎ､』


「最近冷えてきたし気を付けてね？」





夕食後、共有スペースで咳き込むAに
家入はのど飴を渡しながら話す。
Aも大人しく家入の言葉に頷いた。





『……、』


「早めに寝る？お休み〜」


『……！』





同級生２人もAの言いたいことは
何となく分かるようになっていた。


Aは自室に戻り寝間着に着替えて
のそのそとベッドにもぐり込む。




『ｹﾎｯ、ﾋｭｯ……ｺﾞﾎｯｺﾞﾎｯ……』




喉がイガイガする、だとかでは無く、
"息苦しい"の方が正しかった。


何となく嫌な予感にAの額に冷や汗が浮かぶ。
それでもどうしようも無い為、目を閉じた。





────────────

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「A遅いなー……」





翌朝。家入は共有スペースで時計を見ていた。
いつもなら７時には支度を終えて出てくるAが
なぜか１０分を過ぎても出て来ない。





「……やっぱ体調不良かな。一応見に行こ……」





昨日の咳を思い出し家入はAの部屋に向かう。





「A〜朝だよ〜大丈夫ー？」





扉をノックしながら声をかけるも
中から返事は無い。





「A〜？」





ガタン、と微かな音が家入の耳に届く。




「……？」





家入は扉に耳をあてて中の音を聞いてみる。
中からは呻き声のようなものがした。





その瞬間、家入は扉を開ける。
間違いがあれば謝れば良いと考えた。





「A！」


『ﾋｭｰ……ｸﾞ、ｳﾞｳﾞ……ﾋｭｰ……』





そこにいたのはベッドの上でうずくまるA。
苦しげにその背中は揺れていた。





「A、大丈夫？息できる？」


『ｳﾞｸﾞ……は、……な……れ、』


「！？」





ゆっくり上がったAの顔は苦しげに歪んでいて
喉を抑える手はなぜか赤く血濡れていた。





「わ、」


『ｯ！！』





不意にAはベッドから飛び出して
喉を抑えていない方の手で家入を突き飛ばした。


家入が後ろに後ずさると同時に
Aはその横を駆け抜けていく。


その後ろ姿を見ていた家入だったが
次の瞬間には踵を返して走り出した。





「五条！！」





彼女の許嫁の名を呼んで。

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