30 ページ32
貴女side
「あの右上のやつだと思うんですが……」
『んー……？』
姫野さんが物置の１番上の棚を指す。
赤っぽい何かがあるのは分かる。いや高いな。
よいしょ、と背伸びをした瞬間、背中に衝撃。
つま先立ちだったせいで目の前に積んであった
ダンボールに思い切り突っ込む。
『痛……って……えぇ……？』
「あははっ、あははははっ！！
ちょっと今の最高ですよ先輩っ！！」
『……どういう事かな。』
「私が反省したと思いました？？
確かに昨日はずうっと考えてたんですよ！！
先輩を完璧に悪者にする方法をっ！」
めちゃくちゃ笑ってんなこの子。
ってか痛いなぁ……腕擦りむいた……
持ってたペットボトルのお茶も転がってるし。
泡立っちゃうじゃん。
「てなワケでぇー……さよぉなら先輩っ♡
あ、騒いだら分かってますよね？
私今ハサミ持ってるんで……
選手達のそばで転んじゃったら大変だぁ！」
『！
ちょっと待って、閉じ込める気！？』
「そうですけど？」
『ま、待って、それはやめて！！』
やばい、やばいやばいやばい！！
暗くて狭い所は無理だ、
「うるさい！！」
『ｯ……う、あ、ま、待って、お願い……！』
「もし見つかっちゃってもぉ、
運悪く閉じ込められたって言って下さいね♡」
足に力が入らない。
やばい、やばいって…………！！
姫野さんが笑顔で物置の扉を閉める。
『ま……待って……やめて、』
閉じた扉に何とか近寄って把手に手をかける。
開かない、何で、なんであかないの、
鍵はかかってなかったはずなのに、
あ……もしかして掛け金……？
外だけにあるタイプの鍵……
この物置は意外と古そうだし有り得る……
『お願い、お願い姫野さん、開けて！』
磨り硝子の部分を叩く。
お願い、これだけは、本当にやめて。
ジャリ、と足音が遠ざかるのが分かる。
ああ……あああ……
物置の中は暑いはずなのに、寒い。
息が苦しい。
壁が、天井が迫ってくる。
肌が圧迫される。
暗い、狭い、怖い。
『許して……許して下さい、
扉を開けて下さい……
先輩が卒業するまでレギュラーは要りません。
ああ……アルミ製の筈の扉が、
中学校の器具庫と同じ鉄の扉に見え始めてしまった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 518人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ハイキュー」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
沙羅(プロフ) - ★さん» コメント、ご意見ありがとうございます。典型的な悪女を出して対立させたかったので登場させました。そう思われないよう、今後は気を付けて書いていきたいと思います。参考になるご意見をありがとうございました。 (2021年7月7日 1時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
★ - 姫野？ってキャラいる？いなくても話成り立つしむしろいることによって今までの面白さが無くなって残念です。 (2021年7月6日 22時) (レス) id: 0324f0d530 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - ひにゃ。さん» コメントありがとうございます！皆様の応援のおかげで書いてくることが出来ました…！！本当にありがとうございます！入試、頑張ってきます！！ (2020年9月3日 7時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ひにゃ。(プロフ) - 続編おめでとうございます…！受験生にもかかわらず、更新して下さった主様は神です…！入試頑張ってください…！東京から応援しています…！主様が志望校に受かりますように…！ (2020年9月2日 22時) (レス) id: b37bb85b42 (このIDを非表示/違反報告)
善(プロフ) - 何となく方言わかった。だらー。 (2020年8月31日 23時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙羅
| 作成日時：2020年8月10日 21時
