ちゃんと【ハイキュー!!】【北信介】

９月 ページ22

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大型台風１６号は過ぎ去り

残していった台風の被害は高台が抉れた事と、

山の斜面が少し崩れただけだった。







米農家達は田圃の水を抜いたり

実り始めた稲を刈り取る作業に移っていた。







「……信ちゃん、無理はしたらあかんよ。
ここ最近ずっと顔色が悪いで。」



「……大丈夫や。心配せんで、ばあちゃん。
ほな稲の様子を見て来るわ。」



「気を付けてな……適度に休憩とるんよ。」






作業着に着替えた北は自分の田圃に向かう。

祖母の言う通り、顔色は悪かった。






「はあ……しゃんとせえや、俺。
…………ちゃんとやるって決めたやろ。」






軽く両頬を叩くと

北は田圃の水を調節していく。






９月に入った頃には

北信介は取り憑かれている、という噂は消え去り

すっかりいつも通りの態度をとる近所の人達。






変わっていないのは北だけだった。






屈み込んで水道のバルブを捻っていたが、

立ち上がると同時にくらりと視界が揺れる北。






「(あかん……寝不足やろか…………
体調管理も出来んなんて情けないわ………………
足に力が入らん、ダメや、倒れる……ｯ……)」






さすがに田圃の中に倒れる訳にはいかない、と

フラフラと後ずさる。






ドサ、と祠のある斜面の草むらに倒れる北。






北の田圃の面積はそこそこ広いため

近所の人達も気付かなかった。






グルグルと回転する視界を遮るように

北はゆっくり目を閉じる。






「(眠…………)」






大きく息を吐いた北は

全身の力が抜けてゆっくりと眠りにつく。






稲穂を揺らす風が北の上を通り抜けていった。

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