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1月・続続々 ページ45

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『信ちゃん……!!
何でこないな雪の日に外に居るん!?
体がッ……氷みたいに冷たなっとるよ……!』





飛びついたのはAだった。

AもAで薄着なのだがまだ冷えていない。






「やって……約束、したし……」


『ッ…………!!』





ふわ、と笑う北にAは泣きそうな顔になる。





『ッありがとぉ、ありがとぉな信ちゃん……!
待っててくれてありがとう……!』





Aは北を正面から抱き締める。

北もゆっくりと手をAの背中に回した。





「……ぬくい…………」


『そらそうや、ちゃんと体を作ったんやもん。』





Aの中に『土地神』としての記憶は

断片的にしか残っていない。



北との約束と思い出や、

人に成る直前までの記憶しか残っていない。



この記憶も直に消えるだろう。






『信ちゃん、あのな、うちな…………』






Aの頬は少しづつ赤らんでいく。

『土地神』のAには無かった反応だ。






北はそんなAを制止する。

Aは目を瞬かせて北の顔を見た。






体温を取り戻した北の頬は

Aと同じくらい赤らんでいた。






「……俺に言わせて欲しい。」


『……!う、うん…………』







Aは少しだけ不安そうな顔をする。




待っててくれたのは"約束"だから、かもしれない。

何か特別な意味がある訳ではなくて、

北は"ちゃんと"してるから。




そんな考えがAの頭をよぎった。




人として"恋"をしたことが無いAには

何が脈アリだとか、そんなのは分からない。






「……ふふ、なんて顔しとるん?
Aが言ったんやで?

「もしも、年が明けて
それでも信ちゃんがうちのこと好きで居てくれたら
田んぼで、待ってて欲しい。」

……ってな。」


『!!』






北はまだ冷たい指でAの頬を撫でる。






「A…………」






北の視線がAの視線と交わる。

Aは視線を逸らすことは出来なかった。






優しく響く北の声にAの体中の力が抜けて

北の洋服を掴んだままぺたりと座り込んだ。









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「…………好きやで、A。」









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いつの間にか、雪は止んでいた。

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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時

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