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11月・続々 ページ36

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『治のおにぎりむっちゃ美味しかった!!』


「そら良かったわ。
またいつでも食べに来たらええよ。」


『うん!!
侑もばれー頑張ってな!!いつか応援に行く!!』


「おん。ありがとうな。
見つけたら特別にファンサしたるわ。」





北と手を繋いだAが2人に手を振る。





「今日は呼んでくれてありがとうな2人共。
俺もAもええ息抜きになったわ。ほなまたな。」


「また来て下さいね。」


「北さんも応援よろしゅうお願いしますね〜」





北とAを見送る2人。

北達の乗った軽トラックが見えなくなるまで

2人は軽く手を振っていた。






「……あの2人、友達いうより恋人に見えたわ。」


「奇遇やなサム。俺もそう思っとった。」


「案外付き合ってたりしてな。」


「あの年齢差はアカンのとちゃう……?」


「……愛に年齢差は関係ないねん。多分。」


「……まぁ北さんなら今は手は出さんやろ。多分。」





.







「治のおにぎり、ほんまに美味かったなぁ。」


『そら当然やで信ちゃん。』


「?」


『まず治のおにぎりへの愛情が多いんや!
心を込めたもんは何よりもええもんになるんやで!』


「なるほどなぁ……」





それから、とAは北を見る。





『あのおにぎりの米、信ちゃんの米やった。』


「!」


『信ちゃんの作った米やから美味いんは当たり前や!
"ちゃんと"って名前に相応しい米やな。』


「そら嬉しいなあ……ふふ、」






Aは優しく微笑んで前を見る。






『……午後も頑張ろなぁ信ちゃん。』


「おん。頑張ろうな。」






北の田圃の近くで止まった車。

Aは車のドアを開けることなく外に出る。






ふわりと半透明になって降り立つと

ゆっくり振り向いて北に手を振る。






『今日はありがとう。
これからしばらくは会えんかもしれんけど……
その、"約束"……やから、また会いに行く。』



「おん。俺もちゃんと待っとる。
Aも無理せんと頑張ってな。」



『うん……!』







それじゃ、と背を向けるA。

その背中は秋の風に溶けるようにゆっくり消えた。

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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時

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