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8月・続続々 ページ18

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「宮司さん、ちゃうんです。取り憑かれてないです。

何も悪い事なんて起きてません。
体調やって1回も崩してないし、元気です。

田圃やって害虫は珍しく少なかったし、
家のばあちゃんもずっと健康で元気ですよ。

何も、変わった事は起きてないんです。
……Aだけが、居らんくなりましたけど。

そうや、Aの方が心配なんです。
Aはまだ小さい女の子なんですけど
先月の中頃から1回も会ってないんです。」





あくまでも冷静に事実だけを宮司に伝える北。

宮司もしっかりと話を聞いた。





「……確かに、見た所悪い気は持ってないなあ。
どちらかと言えばええ気配の方が多いわ。

その……Aという女の子は
先月の中頃から姿を見せんくなったんやな?」


「はい。」


「……実はなあ、同じ頃からこのお社の
御神体として祀っていた鏡が消えてん。
誰かのイタズラやと思ったんやけど……」





前にもイタズラはあったし、と宮司は呟く。





実は昨年の同じ頃にお社に落書きがされていた。

これは試験だとかで追い込まれた若者が

むしゃくしゃしたから、と落書きをしていたのだ。



その若者は夜中に落書きをしており、

何かに驚いて逃げたらしく階段から落下し

利き手の右手を骨折していた。





その事件は北もよく知っていた。

骨折した若者を見つけたのが北だったから。





「……あの事件はよお覚えてます。
実は階段の上に狐みたいのが………………あ、」


「狐?それは、ツチノカミ様の眷属や……」


「……宮司さん、ついさっき狐が家に来たんです。
Aから残暑見舞いと夏野菜が届いて……

…………宮司さん信じられへん話かもですけど、
Aを、ほんまは何か知ってるんやないですか。

Aという名前に反応してはりましたよね。
何か知ってるなら教えて下さい。」






北は宮司の目を見て話す。

宮司も北の勢いに押され知っていると頷いた。






「でも、私が知っているのは
ツチノカミ様の元となったA様の方です。」


「!」


「着いて来て下さい。」





促されるままに社の中へ入る北。





中には絵巻の様な物が飾られていたり

可愛らしい着物が飾られていたりしていた。





「これは……」


「以前、ツチノカミ様は生贄から生まれたと
お話しましたよね。」





宮司はス、と絵巻を示す。

そこにはおかっぱ頭の女の子が描かれていた。

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沙羅(プロフ) - トロピカーナブランケットツッパーナムルさん» めコメントありがとうございます!!そう言って頂けて本当に嬉しいです!!読んで頂きありがとうございました!!! (2021年7月4日 0時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
トロピカーナブランケットツッパーナムル - いやこの作新ガチ好き (2021年7月3日 17時) (レス) id: 99e5f8b903 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - でこりんまんさん» コメントありがとうございます!来て貰えて本当に嬉しいです…!!切ない、でも幸せなお話が書きたかったのでそう言って貰えて私も感涙です……!!!読んで頂きありがとうございました!! (2020年10月26日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
でこりんまん(プロフ) - 幼なじみは個性的から飛んできました……!凄く素敵なお話でうるうるしながらよませていただきました……!! (2020年10月26日 8時) (レス) id: 5f3c679f42 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:沙羅 | 作成日時:2020年10月25日 19時

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