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no side
「グッ……!!」
ドウ、と鈍い音が響いて従兄弟が吹き飛ぶ。
Aが腹部に蹴りを入れたのだ。
『ッ……』
従兄弟が転がり、受け身を取り損ねた隙を見て
Aは部屋の外へと駆け出した。
「おいっ……!待ッゲホッ……!!」
背後を見ずに暗器を投げる
それが今ここで役に立った。
簪に着いた飾りの一つひとつは
丁寧に磨き上げられた小型の刃物である。
投げられた飾りのひとつは従兄弟の腕に。
また両足にひとつづつ。
正確無比な投擲は
従兄弟を足止めするのに十分だった。
Aは片手に菫から貰った櫛を握って
裸足のまま外へ走り出した。
夜の街を走る。
舗装されていない道はAの足を傷つけた。
それでもAは止まらなかった。
元々五感が優れていたAには
屋敷の中から伯母の悲鳴が聞こえた。
街の出口でやっと立ち止まり
Aは自分の屋敷の方を見る。
『さようなら。父上、母上、蛍。……お休みなさい』
くるりと踵を返すと
Aは夜の山に足を踏み入れた。
この街は山を抜けなければ辿り着けない。
すなわち出る時も然り。
山は裸足出歩くには厳しかった。
尖った石がAの足裏を切り裂く。
手入れされていない木の枝が頬を切っていく。
山は標高があるために空気は薄い。
Aは息を切らしながら走り続けた。
大きな山を一つ越え終わる頃、
Aはやっと速度を緩め歩き始めた。
『はぁ……はぁ……』
息を整えながら木の幹に手をつく。
.
刹那、気配を感じAはそこから飛び退いた。
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沙羅(プロフ) - アリスさん» コメントありがとうございます!!宇髄さんカッコイイですよね……!!もっとカッコイイ宇髄さんを書けるよう頑張りますので、ぜひ続編の方もよろしくお願いしますー!! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
アリス - コメント失礼します!宇髄さんは私の推しなので、すんごいかっこいいなあ…。とか思いながら見てます!頑張ってください! (2020年1月30日 21時) (レス) id: 4db94b3ad0 (このIDを非表示/違反報告)
沙羅(プロフ) - めぐちゃんさん» コメントありがとうございますっれ分かります…宇髄さんカッコイイですよね!もっと夢主を素敵な女性に書けるよう、頑張りますね! (2020年1月11日 14時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
めぐちゃん - コメント失礼します!!宇髄さんはカッコいいし夢主ちゃんもかわカッコよくて面白いです。頑張って下さい! (2020年1月11日 0時) (レス) id: 0087c5132c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年12月29日 21時