きゅうじゅうなな ページ5
貴女side
視界が
頬を冷たいものが伝う。
貴女『ごめんなさい…パパ……ママ……』
私はゆっくりとファイルを閉じた。
貴女『パパとママが…悪い人たちでも…
私のせいでタヒんでしまった……』
もう、二度と会えないんだ。
私が露西亜に行っても。
一度、目を閉じてから
机に落ちる涙を見ていてふと気が付いた。
貴女『私を……誘 拐した彼等は……?
彼等はシマザキさ…シマザキに、雇われていた…
そうだ、彼等が私達を誘 拐したから……』
私の中で荒ぶっていた気持ちが
徐々に冷え切っていくのを感じた。
貴女『彼等が元凶なんじゃない?
嗚呼、そうだよ!そうだよねェ!彼等が悪いよ!
アハハ、なんで、気付かなかったんだろう!』
嗤い声が響いている。
貴女『未だ、生きてるのかなァ?』
椅子から飛び降りて
書類が入った棚を開いていく。
貴女『シマザキと関係ある組織……』
【密輸業者】と書かれたファイルを見つける。
貴女『………"露西亜ヲ主ニ活動"
"時折、日本ヘト密輸スルノヲ目撃サレテイル"
"未ダ健在シ利益ヲ上ゲテイル"』
口元が緩んでいくのが判る。
これだ、この人たちだ。
貴女『次の…貿易日は……』
織田「A?」
貴女『ッ!』
夢中になっていて気付かなかった。
背後に作くんが立っていた。
織田「何を…調べてるんだ?」
貴女『これは……』
織田「…調べて消しに行くなんて事は無いよな?」
貴女『……』
織田「駄目だぞA」
ガタンと乱暴にファイルを棚に戻す。
織田「!」
貴女『作くん……パパとママがタヒんだのは
全部、私のせいなんだって判ったの。
だからね、私を拐かした人達を消して……』
織田「復讐するのか?」
図星だった。
織田「Aが辛いのは判る。
だがそいつ等を消してどうなるんだ?
両親は戻ってこないだろう」
貴女『ッ……』
それも、図星だった。
織田「俺はそんな奴らのせいで
Aの手を無駄に汚したくない」
貴女『……』
何で作くんが辛そうな顔をするの。
何でそんなに想ってくれるの。
そんな風に云われたら……
貴女『復讐する気、無くなっちゃうじゃん……』
織田「……すまん」
怒りで抑え込んでいた悲しみが
決壊したダムの様に溢れ出す。
涙となって。
貴女『うぅ〜……』
織田「…今は、たくさん泣けば善い」
私は作くんに飛び付いて、そのまま泣き続けた。
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時