ひゃくじゅうに ページ20
貴女side
それから数分間
私達はほとんど無言だった。
でも居心地の悪い無言ではなく
熟年夫婦が無言でも穏やかな雰囲気な感じの。
接吻はとても恥ずかしかったけど
恋人らしい事が出来て嬉しかった。
織田「……済まなかった」
貴女『あ、謝らないで!う、う嬉しかった、よ…』
恐らく私の顔は真っ赤だろう。
作くんはそうか、と呟いただけだったけど
どこか嬉しそうだった。
織田「それで……安吾の件はどうする?」
貴女『…安吾くんの身辺調査?』
織田「…それしか無いな」
私と作くんの関係は別として
治くんと安吾くんの私生活はよく知らない。
この二人も私達の私生活を余り知らない。
貴女『安吾くんの家に行ってみよう』
織田「嗚呼」
"家"と云っても安吾くんは出張ばかりだから
決まった家は持っていない。
織田「マフィアの息がかかった
いくつか連絡をしてみるか」
貴女『うん!』
私達は基本的に余り言葉を云わなくても
意図を理解する事が出来るのが自慢だ。
……勿論、云わないと判らない事もあるけど。
作くんは携帯電話を取り出して
宿泊亭に連絡を入れていく。
その間に私は手掛かりになりそうな事を
記憶の中から探し出す。
先ずは……先日の武器庫襲撃について。
治くんが云っていた事件だ。
倉庫の暗証番号は準幹部以上の者しか知らない。
無理矢理に吐かせるか、内通者が話すか
それ以外に開けられる方法は無い。
貴女『ここ最近で準幹部以上の人間が
誰かに拐かされたり、酷い目にあった者はいない。
………内通者が居たとすると…』
居たとすれば最悪だ。
高位の人間が相手側につけば不利。
貴女『昨日は治くんが捕 虜を捕まえて
話しをさせたと紅葉ちゃんに聞いた……』
その人は隙をついて毒を煽ったらしい。
何処まで情報を聞き出したかは知らない。
貴女『…確か安吾くんに音信不通の期間があった。
あれは──────』
織田「A、安吾の住処を見つけた」
貴女『!』
織田「あの辺は昼でも静かな所だ」
貴女『安吾くんが好きそうだね』
織田「そうだな」
互いに小さく苦笑して
その宿泊亭のある地区へ向かった。
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時間軸のズレがあるかもしれません。
ご了承ください。
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年5月13日 15時