さんじゅうはち ページ39
no side
鷗外「さ、座って座って」
貴女『…はい』
鷗外「そんな堅苦しくしないで!
気楽〜にいて良いのだよ」
鷗外は笑顔で云う。
エリスはAの横に立っていた。
貴女『あの…私、怪我してないです……』
鷗外「じゃあ…この包帯は?」
首やら腕に幾重にも巻かれた包帯。
実際は注射痕や荒れた皮膚を隠している。
貴女『えっと……』
エリス「A?」
エリスが心配そうに名を呼ぶ。
それ程にAの顔は青くなっていた。
鷗外「具合が悪いのかい?」
エリス「だいじょうぶなの!?」
貴女『う"…だ、いじょぶ……』
今日一日の疲れが、と云えたら良いのだが
生憎、それだけでは無かった。
島崎らに投与された薬の副作用や
依存性のある物のせいで体調が優れなかったのだ。
鷗外「横になるといい」
ちょっと失礼するよ、断りを入れて
鷗外はAの体を抱える。
そのままゆっくり寝台に下ろし額に手を当てた。
鷗外「少し熱がありそうだね…」
エリス「A、ここで休んできなさい!」
貴女『ごめ、なさ……』
Aの瞳から涙が零れ落ちる。
鷗外「謝ることはない。此処は病院だからね」
貴女『…!あり…が………』
ホッとしたような表情を浮かべ
Aは意識を手放した。
────
Aが眠ったあと
鷗外は
密かに外した包帯の下には
荒れに荒れた皮膚。熱を持つ傷。赤い腫れ。
Aは"施設"と云ったが
普通の"施設"でこんな目に遭うはずが無い。
鷗外「エリスちゃんはどう思う?」
エリス「リンタロウが判らないのに
わたしが判るわけないじゃない!」
そっかぁ、と眉を下げ鷗外は云う。
エリス「リンタロウ本当は気付いてるんでしょう?」
鷗外「えぇ?」
エリス「シマザキケンキュージョよ!」
鷗外「ふふ、どうだろうねぇ」
エリス「もう!」
リンタロウのバカ!グズ!と頬を膨らませて
エリスは怒った表情をする。鷗外は悶えた。←
鷗外「目を覚ましたら…話が聞けると善いのだけど」
エリス「話すかしら?」
眠りながら小さく小刻みに震えるAを見て
本当に心配している様だった。
.
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Aが目を覚ますのは翌日の昼近くのことだった。
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沙羅(プロフ) - ミズミズさん» コメントありがとうございます!本当にありがとうございます...これも皆様のおかげです!相変わらず更新はゆっくりですが今後ともよろしくお願い致します! (2019年3月9日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ミズミズ(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しみに更新待ってます。頑張ってください! (2019年3月9日 11時) (レス) id: ce434b4809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年3月9日 8時