さんじゅう ページ31
no side
警官「厭だなあ、だから云ってるじゃないですか。
我々は名探偵をお招きしたかったんですよ純粋に。
────大いなる誤解というものです」
その言葉にAは首を傾げる。
乱歩「その割に、建物の中に銃を持った
見張りが四人、いや五人いたね？」
貴女『…間違いないよ
火薬と油の臭い、それに五人分の呼吸音がする』
流石ですね、と云う三田村は
乱歩の観察眼とAの人並み外れた
五感の鋭さに驚いていた。
三田村の鼻には火薬の匂いは届かないどころか
呼吸音…ましてや人数など判らない。
警官「ですが傷つけるつもりは毛頭ありません」
乱歩「それで、僕達をここに連れてきた理由は？」
乱歩は手近にあった椅子に腰掛けながら云う。
警官「今回の件で上の連中はカンカンになりまして
台無しにした奴を捕まえろ、と。
情報源、見破った理由を吐かせようと、
そういう魂胆ですね。まあ短絡的な思考です」
大袈裟に肩を竦め三田村は云う。
警官「情報が漏れてたとしたら一大事です。
でもこれらは名探偵の異能により為された
神業なんです」
だから名探偵を絞り上げても
情報源なんて出てこない、そうですよね？と
三田村は乱歩を見る。
警官「かといって上も面子やら沽券があります。
簡単に貴方を開放する訳にはいかない。
上の指示で痛めつけるなんて厭ですよ」
そこで、と三田村は一歩踏み出した。
警官「────
Aは窓の外に初めて見る月を眺めていた。
三田村の声は雑音でしかなかった。
故に手を引かれたことに気づいたのは
三田村が腰の拳銃に手を掛けた時だった。
警官「私は……大人が大人に対するように
貴方に向き合っているつもりです」
乱歩「Aちゃんは関係ないよね？手を離しなよ。
第一ねえ、この天才優秀パーフェクト名探偵異能者
であるところのこの僕がだよ？
こんな街外れまでノコノコと、何の対策もせず
脅されに来ると思う？」
三田村は反射的に拳銃をつきつけた。
乱歩はその銃口をただ眺める。
警官「発信機の類は無いはずだ」
貴女『……』
Aは右手を掴まれている故に
左手で首に巻かれた包帯を撫でる。
包帯の下には島崎に付けられた発信機がある。
よほど精巧なもの作ったのか、
身体検査では気付かれなかったのだ。
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沙羅(プロフ) - ﾐｽﾞﾐｽﾞさん» コメントありがとうございます！本当にありがとうございます...これも皆様のおかげです！相変わらず更新はゆっくりですが今後ともよろしくお願い致します！ (2019年3月9日 12時) (
レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ﾐｽﾞﾐｽﾞ(プロフ) - 続編おめでとうございます！いつも楽しみに更新待ってます。頑張ってください！ (2019年3月9日 11時) (レス) id: ce434b4809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：沙羅
| 作成日時：2019年3月9日 8時
