にじゅうよん ページ25
no side
福沢「十五…!?」
貴女『はい』
乱歩「歳は近いって思ってたけど
僕より歳上だったんだね」
驚く福沢とケラケラと笑う乱歩に
Aは苦笑いをこぼす。
福沢「川端…と云ったか」
貴女『正確にはA・ローゼン・川端ですが
短くする時はそうです』
福沢「親は如何した。この少年については聞いた。
だが未だお前には聞いてなかった」
真面目な顔をして福沢は話す。
それと平行してAの顔は青ざめていく。
乱歩「おじさんデリカシー無いね」
福沢「なに?」
突然そう云われ福沢は眉を寄せる。
乱歩「聞かれたくないことってあるでしょ?
僕は父上と母上が居ないけどこの子は────」
貴女『親は居ないんです!』
バンッと机に両手をつき
乱歩の話を遮るようにしてAは立ち上がった。
貴女『わ、私の親も今は遠い所にいて…
一緒に居れなかったから私は施設に居るんです』
乱歩「……」
あまりにも不自然な笑顔に
福沢はさらに眉を寄せAを見た。
貴女『す、少し外出許可が出たからっ
その、ヨコハマを見て回ってるというか!』
福沢「…その包帯は如何した」
貴女『ッ!!』
長袖から僅かに覗く包帯と
首に幾重にも巻かれた包帯を示す。
貴女『ッと、その……ケガ、と云うか……』
福沢「その施設の名は何という────」
よい扱いを受けていないのか、と云おうとしたが
乱歩によってそれは遮られた。
乱歩「おじさん!ソーゴフジョの精神!ん?
ソゴーフジョ?ソゴフージョ?フソゴーショ?
ん?あれ?」
福沢「相互扶助」
乱歩「それ!その精神で両親をなくして、
仕事もなくして、施設暮らしの子を連れ、
行くところもなくて
トホーに暮れている十四の少年を前に、何かこう、
胸からこみあげてくるものがあるでしょ?」
福沢は名刺を机に置く。
身の危機があれば連絡しろ、と云いながら。
それを手に取った乱歩は店の奥へ歩く。
顔を青くしていたAは気を取り戻し、
福沢は黙って座っていた。
.
.
店内に設えた緑電話から
福沢の仕事用の携帯電話が呼出音を鳴らすのは
この数秒後のことであった。
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沙羅(プロフ) - ミズミズさん» コメントありがとうございます!本当にありがとうございます...これも皆様のおかげです!相変わらず更新はゆっくりですが今後ともよろしくお願い致します! (2019年3月9日 12時) (レス) id: 1f154ecd75 (このIDを非表示/違反報告)
ミズミズ(プロフ) - 続編おめでとうございます!いつも楽しみに更新待ってます。頑張ってください! (2019年3月9日 11時) (レス) id: ce434b4809 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:沙羅 | 作成日時:2019年3月9日 8時