愛すは祓い屋の男【夏目友人帳】 (ページ11)

今日:3 hit、昨日:7 hit、合計:25,933 hit

拾ページ11

夏目side

的場｢この先に別邸があるんです｣

夏目｢…そうですか｣

的場｢そんなに警戒しないで下さい｣

ふふ、と笑いながら的場さんは言う。

この笑顔は信じられない。

この人がAさんの旦那さんなんて…

的場「ああ、見えてきましたよ」

その声に顔を上げれば

年季の入った大きくて豪華な建物。

.

的場「さあ、遠慮せずにどうぞ」

ガラリと戸が開けられて

広い玄関に足を踏み入れる。

夏目「おじゃまします…」

ﾆｬﾝｺ「……」

ニャンコ先生も入った瞬間

廊下の奥から白面が滑るように出てくる。

夏目「ｯ！！」

ﾆｬﾝｺ「ﾁｯ……」

的場「おや」

明らかに敵意を持ってる。

まずい、やっぱりはめられたんだ…！

貴女『おやめなさい！！』

凛とした声が響いた途端、白面が廊下に倒れる。

夏目「Aさん…！？」

貴女『あら…貴志君。……ごめんなさいね！
もう！静司さんったら止めなきゃダメでしょ！』

的場「驚いてしまって。すみません」

貴女『またそうやって言う！』

何やら口論(夫婦喧嘩？)を始めてしまった。

貴女『あ、貴志君は客間まで案内するわね』

夏目「お…お構いなく…」

着いてきて、と笑顔で言うAさんの右手には

引きずられていく白面が握られていた。

貴女『お茶を淹れてくるからゆっくり待ってて！』

的場「走ってはいけませんよ」

貴女『分かってますよ！』

そう返事をしていたのに

パタパタと足音がして走ってることは分かった。

……というか、

的場さんとこの部屋にいるのは気まずいな。