弐 ページ3
夏目side
ニャンコ「まったく…なぜ高貴な私が
貴様の失くしたマフラーを探さねばならんのだ!」
夏目「用心棒の先生がいなかったから
妖に襲われたんだろ!」
昨日の夜に失くしたことが分かり
塔子さん達には学校に忘れたことにした。
朝に探すには林の範囲が広くて
ちょっと無理があった。
ニャンコ先生に頼んで放課後に探している。
ニャンコ「むぅ…七辻屋の饅頭を買えよ夏目」
夏目「分かった分かった」
??『あの……』
夏目「!?」
急に背後から声をかけられる。
夏目「…は、はい」
女性の声だ。妖か?
恐る恐る振り向けば
美しい柄の着物を着た綺麗な人が立っていた。
貴女『あ、えっと驚かせてごめんなさいね。
私…ここでマフラーを拾ったものだから…
もしかしたら貴方のかしら、って』
女性は両手で持っていた風呂敷を開くと
俺のマフラーを取り出した。
夏目「あ…僕、のです。ありがとうございます…」
貴女『良かった!はい、どうぞ』
ぱぁっと花の咲くような笑顔で
俺にマフラーを手渡す。
貴女『あら、猫ちゃんも一緒に探してたの?』
ニャンコ「にゃーん」
貴女『可愛い!お饅頭…食べられるかしら?』
女性が袖から饅頭を取り出すと
ニャンコ先生がピタリと止まる。
貴女『…?お饅頭は嫌いだったかしら…?』
夏目「すみません…いつもなら食べるのに…」
貴女『ふふ、猫ちゃんは気まぐれ位が丁度いいわ』
何かを警戒するニャンコ先生をよそに
微笑む女性は不思議な感じがした。
夏目「あ、何かお礼を…」
────バキッ
夏.ニャ「「!!」」
貴女『…』
女性の背後で木が折れた。
と言うより妖がへし折った。
夏目「あ…の、古木とか多くて
危ないみたいですし!は、離れませんか?」
貴女『…そうみたいね!』
怪しまれない程度に急いで林を抜け出す。
後方でニャンコ先生が妖を止めてくれたおかげで
俺やこの人に怪我は無かった。
夏目「大丈夫でしたか?」
貴女『えぇ!あ、そうだ。貴方…お名前は?』
夏目「俺は夏目貴志です」
貴女『貴志君ね!私は的場 Aよ』
的場…?
貴女『あぁ、もうこんな時間!
貴志君もお家の方が心配なさるわ』
夏目「え、」
近くにあった時計を見れば
もう17時を過ぎていた。
夏目「す、すみません!」
貴女『良いの良いの!
また会えたらお話しましょうね』
軽く頭を下げてニャンコ先生を連れ走る。
あの苗字…どこかで……
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作者名:沙羅 | 作成日時:2018年12月15日 20時