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no side
第2セットが始まり再び日向が攻撃を繰り出すも
犬岡のブロックに弾かれる。
「────気力を挫く"人の壁"。
打てば打っただけ心は折れて──────」
猫又の言葉に
Aは気の毒そうな顔を日向に向ける。
──────が、
『え、』
日向は笑っていた。
「──────わらった、」
日向は何かを影山と話す。
トスを上げてくれ、そう頼んでいた。
大きく右にトスを上げる影山。
日向も腕を振り上げる。
その時、日向は初めて目を開けた。
影山のトスを見たのだ。
『打つと思ったのに…………』
「た た た タイムッ！！」
ガタァっと椅子から転げ落ちる様に
タイムを取る烏養。
『ふむ……』
「A先輩、どうかしましたか？」
タイムアウト中の烏野ベンチを見ていたAに
芝山がそっと尋ねる。
『烏野はまだ雛烏なんだな、って。』
「雛烏……？」
『あの子たち、成長途中なんだよ。
これから、いくらでも大きくなる。脅威になる。』
「脅威……」
Aはどこか面白そうに話すも
表情には僅かに焦りの色が見えた。
『良いなぁ……』
「「……」」
Aは無意識に右腕をさすりながら
ポツリと呟いた。
猫又や後輩に見られているとも知らずに。
.
タイムアウトが終わり、
再び影山のトスが上がる。
『おっ、インダイレクトデリバリー！
やっぱり変えてきましたねぇ。』
「水瀬のバレーに関する観察眼はずば抜けてるな。
バレーに関しては。」
『何ですか猫又監督。
それじゃあまるで他は駄目みたいじゃないですか。』
「駄目だろ？」
『ぐっ……平均点は取れてますしおすし。』←
ぐぬぬ……、と悔しそうに顔を歪めるA。
確かにバレーに関しては非の打ち所は無いが、
勉強はかなり苦手なのだ。
怪我の療養中に死ぬほど勉強して
何とか平均点は維持できているような奴である。
「返すのが精一杯みたいですね……」
『どうやら初めてやってるみたいだからね。
出来なくて当然。
でもね芝山君、さっき言った通りまだ雛烏なんだよ。
10番君はあそこから絶対に成長してくる。
ブロックを避けて打つことも出来る様になる。』
「……A先輩ってカッコイイですね、」
『え、』
Aがそう言った瞬間、
日向はブロックを避けてボールを打った。
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作者名：沙羅
| 作成日時：2020年3月25日 22時
